モーニングKC 全35巻
原作:吉川英治 作画:井上雄彦
出版社:講談社
初出時期:1998年(週刊モーニング)
分野:青年マンガ
ジャンル:剣劇、歴史
内容:吉川英治氏の小説『宮本武蔵』を井上雄彦が、大胆で斬新な世界感で描き上げた時代大作。
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原作は日本人ならほとんどの人が知っている吉川英治氏の小説『宮本武蔵』。
マンガだけでなく、映画からテレビドラマなどで、数多く作品化されています。
剣豪と言われた宮本武蔵の半生が描かれています。
戦国末期から江戸時代へと移り行く時代。
剣の時代が終わろうとしている時に、武蔵は登場します。
歴史の大転換期に、出世の夢が破れた武蔵が剣士として自己を確立しようともがく様が描かれていきます。
もちろん、巌流島の決闘の佐々木小次郎をはじめ、数々の武芸者も登場してきます。
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吉川英治氏の原作とは多少アレンジされています。
武蔵の実姉が描かれていなかったり、佐々木小次郎がろう者だったりしています。
吉川英治氏の『宮本武蔵』とは全く別物の、井上雄彦氏の「宮本武蔵」が描かれていると思います。
題名の「バガボンド(vagabond)」は、英語で「放浪者、漂泊者」という意味です。
作者が、宮本武蔵という先入観を与えないようにしたかったために、あえてこのようなタイトルを使ったそうです。
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大人気となった「スラムダンク」から比べると、だいぶ描画の線の感じは変わりました。
そして、ペンでの描写に限界を感じたということで、作品途中の「小次郎編」から、筆のみによって描画するようになりました。
文字も少なく、迫力ある絵が前面に広がっているので、通常の歴史作品のように歴史を学べるというよりも、
ある意味、井上雄彦氏の画集のような作品とも思えます。
佐々木小次郎編の終了から1年間の長期休載があったがありました。
2005年5月より再び連載が再開されましたが、2010年12月から再び長期休載に入りました。
物語の進展も遅過ぎるという意見が読者からも上がっているようです。
この作品をアニメ化や実写化するのは、生半可な形では無理でしょう。