ジパング

モーニングKC 全43巻

作者:かわぐちかいじ
出版社:講談社
初出時期:2000年(モーニング)
分野:青年マンガ
ジャンル:歴史
内容:現代の最新鋭イージス艦「みらい」が第二次世界大戦の時代にタイムスリップしたことによって歴史は変わるのか?


第二次世界大戦の昭和初期の時代を描いた作品ですが、
普通の時代物と違い、タイムスリップが関係してくるSF的な要素が加わった作品になっています。
このテーマで思い浮かぶのが、1980年のアメリカ映画「ファイナル・カウント ダウン」です。
この作品はアメリカの原子力攻撃空母ニミッツが、真珠湾攻撃前日にタイムスリップするというものです。
他にも豊田有恒氏の「異聞・ミッドウェー海戦」という作品もあります。
海上自衛隊の護衛艦「くらま」が、ミッドウェー海戦に介入するという物語です。
このようにタイムスリップによる過去の歴史に介入するというものはいろいろあります。
この「ジパング」は、タイム・パラドックスの問題によって歴史を変革することはできないという他の作品と少々異なり、
歴史を変えることを志して行くというところが面白いところだと思います。


西暦200X年という時代設定からこの物語は始まります。
海外派遣で海上自衛隊の自衛艦隊であるイージス艦「みらい」が、ミッドウェー沖で突如嵐に巻き込まれて落雷を受けます。
その後に戦艦大和が率いる大日本帝国海軍連合艦隊に遭遇し、タイムスリップが起こったことを認識するのです。
そして帝国海軍通信参謀である草加拓海少佐を救助してしまったことから、
第二次世界大戦中の歴史に関与していくことになるのです。


過去の時代に現代の兵器が使われると、どうなってしまうのか。
半村良氏の「戦国自衛隊」でも見られるように、とても興味深く面白い部分だと思います。
「戦国自衛隊」ほどの時代の差はありませんが、
ミサイルやレーダーなどの最新テクノロジーの時代の格差が、細かく描かれています。
そして、そういった兵器や戦闘部分だけでなく、当時の政治背景なども細かく描かれているのは、
さすが、かわぐちかいじ作品と言ったところでしょうか。
第二次世界大戦が終わってからまだ 65年しかたっていません。
しかし現在の日本を見てみると、
65年前に実際にそんな戦争が起こっていたとは到底想像することなどできないような平和な日々となっています。
マンガという作品で、実際に起こっていた第二次世界大戦をこういった形でも認識することは、
大事なことではないかと感じました。


2004年にはアニメ化され、TBS系で放送されました。

(漫画本エッセイ203)