ビッグコミックス 全48巻
作者:小山ゆう
出版社:小学館
初出時期:1994年(ビックコミックスペリオール)
分野:青年マンガ
ジャンル:江戸時代初期
内容:戦国の時代が終わろうとしている時、あずみは非情な運命の元に闘いの日々が始まる。
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江戸時代初期を舞台にした時代劇作品です。
「あずみ」と言う名の美少女がこの物語の主人公という、ちょっと風変わりな設定になっています。
美少女が主人公なのですが、その内容は非常にリアリティに満ち、ハードなものになっています。
刀での闘いのシーンはリアリティがあり、少々残酷にも感じる描写となっています。
この時代背景の再現には、ある意味必要不可欠なものなのかもしれません。
しかし作者の小山ゆう氏の作画は、それほどの残酷さを感じさせないものなので、
残酷なシーンの苦手な人でも楽しめる作品ではないかと思います。
もしこの内容をもっとリアルな劇画調の描写で描いたら、ちょっときついものになってしまいそうな気がします。
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物語は戦国末期から始まります。
戦国時代は様々な分野で作品化されています。
織田信長や武田信玄など、名だたる武将がヒーロー扱いされていますが、
本当は日々戦乱が続く悲惨で残酷な時代だったのでしょう。
そんなリアルな時代背景が、この作品からは感じられることができます。
この作品の第1巻から、その厳しい現実と悲運がいきなりやってきます。
漫画と言う表現方法がうまく和らげて伝えてくれていると感じ、読んでいて助かった部分もあります。
単なる「あずみ」という時代劇ヒロインではないものを、この作品から感じることができる思います。
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戦国の世の終わりと言う変革期の時代に、必要とされなくなってきた戦いに生きてきた武士。
そして戦の無い太平の世を作り上げるために必要な人間。
その立場立場によって、様々な戦いが「あずみ」の周りで起こっていきます。
そういった単純に善と悪でくくれない対立の中での人間関係は、とても興味深く面白いと思います。
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2003年に、上戸彩が「あずみ」役を演じて東宝系で映画化されました。
2005年には、黒木メイサが「あずみ」役で舞台化もされています。
他にもゲームや、パチンコにも使われています。
10年以上にわたり連載されていましたが、2008年に、「第1部・完」ということで一応連載は終わりました。
その後、引き続き幕末を舞台にした続編となる『AZUMI』が連載開始されています。
(漫画本エッセイ201)
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