ビッグコミックス 全33巻
原作:坂田信弘 作画:中原裕
出版社:小学館
初出時期:1994年(ビッグコミックスピリッツ)
分野:青年マンガ
ジャンル:陸上競技
内容:天才ランナー壱岐雄介が陸上競技の世界での活躍を描いたスポーツ感動物語。
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スポーツの原点である「走る」ということは、単純そうに見えますがその奥は深く、
ドラマチックな陸上競技の戦いの世界を感じることのできる作品だと思います。
特に駅伝は、古くから日本でも人気のスポーツです。
駅伝には何か日本人らしさを感じてしまうものがあるのでしょう。
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冒頭から波乱含みで展開するストーリーは、最後まで息をもつかせず進んでいきます。
主人公の壱岐雄介は父の才能を受け継ぎ、
小学校の時から「日本海の疾風」と異名を取るほどの素晴らしいランナーとしての才能を発揮していきます。
最初は短距離から始まり、徐々に長距離へと活躍の舞台が移って行きます。
お正月の箱根駅伝などでもわかるように、日本人は駅伝やマラソンが大好きのようですが、
その面白さが十二分に表現されている作品だと思います。
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原作の坂田信弘氏は、坂田ジュニアゴルフ塾などを主催しており、独自の理論によるゴルフ指導で有名な方です。
レッスンプロゴルファーにもかかわらず、様々な漫画原作も手がけているのです。
自身がスポーツに長けており、その指導にも単にスポーツが強くなるだけでなく、
人間的にしっかりするための指導もされるらしく、作品の中に出てくる指導者の言葉などを読むと、
なるほど頷けるような内容が多いのもそのためなのでしょう。
長距離走をやっている青少年たちは、この作品から参考にできることも多いのではないかと思います。
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作画の中原裕氏の絵柄もスポーツドラマに合っていて、
そのしっかりしたタッチがよりスポーツの迫力と感動を生んでいると思います。
特に駅伝の場面などは、一人一人がタスキの重みをそれぞれに感じ、その思い入れの中でタスキをつないでいきます。
そんな長距離走の駅伝やマラソンの世界を垣間見るこ とのできる感動すること請け合いの作品だと思います。
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2008年に実写化され映画が公開されました。奈緒子役には上野樹里、壱岐雄介役は三浦春馬です。
(漫画本エッセイ176)
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