MAYA(マヤ)〜真夜中の少女〜

講談社コミックス 全9巻

作者:本島幸久
出版社:講談社
初出時期:1994年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:サイキック・サスペンス
内容:未来予知能力という超能力を持つ真夜という少女が、時の運命の中に巻き込まれて行くサイキック・サスペンス作品。


一昔前、ユリ・ゲラーやスプーン曲げなどで超能力ブームが起きていたこともあり、
誰しも超能力と言うものには少なからず憧れがあるのではないかと思います。
自分がもし超能力者だったらと思ったことのある人も多いのではないでしょうか。
この物語は、未来を見ることのできる予知能力を持つ一人の少女が主人公です。
しかし主人公は超能力を使って大活躍してヒロインに、という単純な内容にはなっていません。
超能力という人とは違った特別な能力を持つが故の苦悩が描かれているというところが、
単なる超能力作品よりも奥深いものとなっています。


主人公の深月真夜が持つ予知能力は人の死だけを予知してしまうという限定された能力のため、
真夜はその能力を持つが故の苦悩を味わっていきます。
死の未来を見てしまった人たちを一人でも多く救いたいと願い、真夜は様々な場所に出て行きます。
基本的には勧善懲悪モノで一話完結型の様々なストーリーが展開されていくので、
後味も悪くなく、すっきりと読んでいくことができると思います。
随所で超能力に関することなどのうんちくもあり、けっこう超能力のことを知ることもできます。

確かに超能力という特別な能力は、常人にとっては憧れる能力ではありますが、
本当にこういった特別な能力を身に付けた時には、実は相当な苦悩に見舞われるのかもしれないと思いました。
実際に鈴木光司氏の小説「リング」のモデルにもなった御船千鶴子や、
スプーン曲げや念写で一世を風靡した清田益章氏などは、
世間からインチキ呼ばわりの激しい攻撃に苦悩したそうです。
超能力は本当にあるのか?という疑問はよく話題になりますが、
いざ本当にあったとしてもその特殊な能力に常人は恐怖を抱き、認めたくなくなるのではないでしょうか。
そうなると本当に超能力を持つ人間がいても、
そういった苦悩を恐れ、公表せず、ひっそりと生きているのかもしれません。

◆2002年に日テレジェニック卒業制作ドラマとして制作されました。
どんな出来栄えなのか全く分かりませんが、
しかしこの作品ならアニメでも実写でもちゃんと作ればけっこういいものができるような気がします。

(漫画本エッセイ167)