ソムリエ

集英社文庫 全5巻

原作:城アラキ 作画:甲斐谷忍
出版社:集英社
初出時期:1996年(MANGAオールマン)
分野:青年マンガ
ジャンル:ソムリエ
内容:ワインに命をかけるソムリエの佐竹城の10万種の中の1本を探し求める旅が始まる。ワインへの入門書には最適の異色作。


食に関する作品は昔から数々あります。
しかしワインを題材にし、しかも主人公がワイン選びのサービスを生業とするソムリエというのは、非常に珍しい作品だと思います。
そういえばこの作品が連載されていた頃は、日本にもワインブームが起こっていました。
ワインの知識などほとんど無い、にわかワイン通がボジョレー・ヌーボなどに群がっていた光景を思い出します。


主人公はフランスのソムリエコンテスト優勝の栄誉を放棄したという天才的ソムリエの佐竹城。
佐竹城は、子供の時に今は亡き母が飲ませてくれたワインを求めて、
世界にある10万種のワインの中のただ一本を探すために世界中を歩き回ります。
という設定のために、次から次へと、いろんなワインが登場してきます。
この作品を読むだけで十分ワインに関する薀蓄を語れるようになれると思います。
ちなみに「ソムリエ」という言葉はフランス語ですが、「樽を運ぶ男」と言う意味から来ているそうです。


すっきりとした線で描かれている作品で、ワインと言う繊細なものにとてもマッチした絵柄だと思います。
ワインにまつわる様々な話でストーリーが展開していきます。
巻末にはこの作品で監修をやっている堀賢一氏の書き下ろしエッセイ「ワインの自由2003」が掲載されています。
ワインに興味のある方には恰好の入門書になるのではないでしょうか。


1998年にフジテレビ系列でテレビドラマが放送されました。
主人公の佐竹城を稲垣吾郎さんが演じました。
稲垣吾郎さん自身もワインが好きなようで、ソムリエという役にはピッタリでした。
原作の中の主人公にも非常に雰囲気が合っていたと思います。
でも内容的には原作と違い、別なものになっていたようです。

(漫画本エッセイ165)