宇宙戦艦ヤマト

秋田文庫 全2巻

作者:松本零士
出版社:秋田書店
初出時期:1974年(冒険王)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF
内容:地球を救うために宇宙に旅立つ宇宙戦艦ヤマトとその乗組員たちの、愛と感動のスペースオペラ。


この作品は何と言ってもアニメから大人気となった作品です。
それもそのはず、漫画が原作となってアニメ化されたのではないのです。
アニメの企画として始まり、アニメ放送と漫画連載が同時に始まったのです。
基本的なSF的設定はアニメのプロデューサーの西崎義展氏とSF作家の豊田有恒氏の手によって作り上げられました。
タイトル名の宇宙戦艦ヤマトや各キャラクター設定などは全て松本零士氏によって構築されました。
その時の基本的なストーリーの元になったのが「西遊記」というのは面白いところです。
テレビアニメから始まり、劇場アニメ、漫画、小説と様々な分野で大人気となりました。
そんな大人気作品となったために著作権争いが起こってしまったことは少々残念なことです。


漫画の連載と同時に始まった日本テレビで放送されたアニメは、
他局で放送されていた「アルプスの少女ハイジ」の人気のために視聴率が上がらずに、途中で打ち切られたそうです。
この作品もよくあるパターンで、再放映を求める声によって人気が上昇しはじめました。
再編集した劇場映画が1977年に公開されると、社会現象ともいえる大ブームとなりました。
そして日本のアニメーション史上に輝く大人気作品となったのです。
同じ1977年にに公開された「スター・ウォーズ」とともにSFブームの火付け役になったと思います。


主人公は艦長の沖田十三、それとも古代進か、しかしなんといってもやはり主役は宇宙戦艦ヤマトなのでしょう。
第二次大戦で海の藻屑と消えた大日本帝国海軍が建造した世界一の戦艦「大和」。
それをほぼそのままの姿で宇宙戦艦にしてしまうというのは、松本零士氏ならではの素晴らしいアイディアでしょう。
この「宇宙戦艦ヤマト」とその乗組員たちが地球を救うために、
14万8千光年彼方の大マゼラン星雲のイスカンダル星へ向け旅立っていくのです。
アニメで毎回放送最後に出る「地球滅亡まであと何日」というテロップはとても印象的でした。


松本零士氏の描く漫画作品は、独特のメカニック表現と宇宙空間のビジュアルで、
それまでのアニメ作品とは一味違った味わいを感じさせてくれました。
しかしやはりアニメ作品の印象は強く、漫画作品を読んでいても、思わずささきいさお氏の歌が頭を駆け巡ってきます。
「宇宙戦艦ヤマト」「真赤なスカーフ」とも作詞は阿久悠氏、作曲は宮川泰氏です。
今でも新作ができる非常に息の長い人気作品です。

(漫画本エッセイ161)