シェイプアップ乱

ジャンプコミックス 全14巻

作者:徳弘正也
出版社:集英社
初出時期:1983年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:ギャグ・学園
内容:主人公の乱子を取り巻く宗一郎やおかしな仲間たちが青春を謳歌し、ちょっぴり泣かせてくれる抱腹絶倒のギャグ作品。


少年誌に掲載されていた作品で、作者の徳弘正也氏のデビュー作となります。
「もっこり」という言葉はこの作品から流行ったのではないかと言われるように、
少年少女にはちょっとお下劣なギャグ作品かもしれません。
しかしストーリーはけっこうしっかりしていて、ホロリと来てしまうところもあるのです。


主人公の寿乱子はボディービルが趣味のとっても元気な女子高校生。
その乱子の家に親せきの東大を目指す浪人生の原宗一郎が下宿しています。
この宗一郎がすごーくスケベの超変態なのですが、東大を目指すだけあって、かなりの秀才というちょっと不思議な人物なのです。
この二人を中心に物語りが進んでいきます。


宗一郎の下ネタ以外のこの作品の面白さのひとつに、左京くんの家の極貧生活が笑えてしまうのです。
の不幸は蜜の味といったところでしょうか。
しかしその左京くんの妹がけなげでかわいいのです。
クリスマスやひな祭りなどの行事のお話は、面白いけれど、ちょっぴりホロリとくる味のあるお話となっています。
徳弘正也氏のギャグセンスは大笑いするものではなく、おもわずニヤッと笑ってしまうそのセンスは素晴らしいものだと思います。


主人公の寿乱子をはじめ、なかなかの個性豊かな主要キャラクターたちは、嫌な人間がいないのです。
どこか憎めないいいヤツといったところが、この作品の良さの要因のひとつではないかと思います。
最後は少年ジャンプでよくある、突然の連載終了といった形で終わったのは少々残念です。
今でも古臭い感じがしないので、この作品でホームドラマでも作ったら面白いのではないかと感じました。

(漫画本エッセイ159)