ビッグコミックス 全27巻
原作:矢島正雄
作画:弘兼憲史
出版社:小学館
初出時期:1980年(ビッグコミック・オリジナル)
分野:青年マンガ
ジャンル:社会・ヒューマン
内容:現代社会で必死に生きる様々な人間の生き様をを描いた社会派ヒューマンドラマ。
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世の中には、人の数だけ人生のドラマがあります。
オムニバス形式で、タイトルの「人間交差点(ヒューマン・スクランブル)」からも分かるように、
スクランブル交差点を行き交う人と人のように様々な人間ドラマが交錯していきます。
弘兼憲史氏と矢島正雄氏のコンビの真骨頂といえる代表作です。
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人が現代社会で生きて行くためには、生い立ちから始まる運命や、様々なしがらみなどによって、
激しい波に浮き沈みする小舟のように厳しく、そして悲しく時を刻んでいきます。
その一つ一つのドラマには、愛という言葉を元に、喜びや怒り、哀しみが生まれ、
その人間の本当の姿が見えてきます。
数々の人間 ドラマが、人間の本質というものを垣間見せてくれます。
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よくぞこれだけ様々なドラマを書き上げたものだと、原作の矢島正雄氏には敬服いたします。
そのドラマに弘兼憲史氏の絵柄が巧妙にマッチし、味わい深い作品になっていると思います。
漫画という日本の誇る文化は、近年では一口にくくれないほど様々なタイプのものが出てきていますが、
この作品のようなものも漫画という文化が成せる素晴らしさだと思います。
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この作品を読むと、人間とは、いかに欲望という魔物と戦いながら、愛というものにすがり、
そして裏切られてしまう、儚くも寂しい生き物ではないのかと感じてしまいます。
昭和という激動の時代を生きてきた人間模様が伝わってくると思います。
そこから今生きて行くために必要なものは何なのかが感じ取れ る作品ではないかと思います。
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1993年に実写化された映画が公開され、その後も何度か実写ドラマ化されています。
2003年にはテレビ東京系でアニメ化されて放送されました。
(漫画本エッセイ158)
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