ビッグコミックス 全9巻
作者:尾瀬あきら
出版社:小学館
初出時期:1994年(ビッグコミックオリジナル)
分野:青年マンガ
ジャンル:フリーライター
内容:28歳という女性にとっての人生のポイントに差し掛かった主人公の杉苗みのりが、フリーライターとしての道を歩んで行く物語。
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主人公の杉苗みのりは独身の28歳。
小さな出版社を辞めて、作家を目指してフリーライターになります。
とうぜんいきなりフリーとなっても、そうそう仕事にありつけるものではありません。
仕事以外にも様々な困難に遭遇していきますが、何とかライターとしての仕事を始めていきます。
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出版会でのフリーライターという仕事が丁寧に描かれています。
こういった業界にありがちな、様々な理不尽な仕事などは、業界で仕事をしている方なら、あるあると共感するのではないでしょうか。
そしてこの仕事が間違いなく「3K職業」ということがよく解かります。
しかしそこには、創作というクリエイティブな部分がやりがいとなるのでしょう。
ライターを目指したい方には、「ライター入門」という形でも読める、お勧めの作品だと思います。
派手さは無い作品ですが、仕事の話だけでなく、ありがちな色恋沙汰もあり、じっくりと感じてくる面白さがあると思います。
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原作ではありませんが、協力として、フリーライターの藤田千恵子氏のエッセイ集「愛は下剋上」がベースとなっているために、
ストーリーにリアル感がでているのでしょう。
時代は今のようなパソコン全盛の時代ではなく、独立と共に主人公のみのりは、なけなしのお金でワープロを購入するという時代なのです。
しかし仕事的の内容としては基本的にやっていることは今も同じでしょう。
パソコンとインターネットの普及により、この時代よりも原稿などの受け渡しがだいぶ便利になったというのは、
何処の業界も感じられることなのでしょう。
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こういったリアルな社会派作品には、作者の尾瀬あきら氏の画風はピッタリだとは思うのですが、
主人公などのキャラの魅力には少々欠ける感があるために、それほどのヒット作にはならなかったのでしょう。
それと主人公のみのりが、それほどの挫折も無く、順調に売れっ子への階段を駆け上りすぎているという意見などもあるようですが、
とかく成功する者はそんなものなのではないのでしょうか。
逆にあのライブドアの社長のように、成功までは順調に進んでいくけど、その後が危ないということもあるのではないでしょうか。
(漫画本エッセイ154)
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