ギャラリーフェイク

ビッグコミックス 全32巻

作者:細野不二彦
出版社:小学館
初出時期:1992年(ビッグコミックスピリッツ)
分野:青年マンガ
ジャンル:美術商
内容:芸術に魂を売った主人公・藤田玲司が美術界を舞台にした様々な事件を描いた衝撃のアートサスペンス。


非常に珍しい画商という職業が取り上げられた作品です。
様々な名画や芸術品にまつわる物語で、芸術に関する勉強にもなります。
芸術界を舞台に、2006年に公開されて大人気となった映画の「ダヴィンチ・コード」にも劣らないサスペンス・ストーリーが展開していくのです。


「ギャラリーフェイク」という贋作専門の画廊を経営する元メトロポリタン美術館のキュレーター(学芸員)の藤田玲司が主人公です。
クールにそしてハードボイルドで美術界の裏世界を暗躍し、様々な幻の名作をめぐって人間の果てしない欲望や情熱が交錯していきます。
第2巻には、映画「ダヴィンチ・コード」にも登場するモナ・リザにまつわる内容の物語になっています。


ストーリーは短編完結型で、ひとつひとつの物語には絵画だけではなく、ミニカーや時計、楽器などの様々なジャンルの芸術品が出てきます。
それぞれの芸術品に秘められた謎や逸話は非常に面白く、新たな知識の幅が広がり、芸術品への見方が変わってくるのではないでしょうか。
学校の美術の授業なども、こういった視点から芸術が学べれば、もっと興味が向くのではないかと感じました。
「美」とは何か?「芸術」とは何か?
人間の「美」や「芸術」への欲望の深さは何処まで続くのか…。
改めて考えさせられます。


2005年にテレビ東京系列でアニメ化されました。
ナレーションは芸術に精通している石坂浩二氏でした。
やはりアニメ化され人気を博した「Gu-Guガンモ」や「さすがの猿飛」と同じ作者だと思うと、細野不二彦氏の作風の広さには驚かされてしまいます。

(漫画本エッセイ153)