Jドリーム

少年マガジンKC 全14巻

作者:塀内夏子
出版社:講談社
初出時期:1993年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:スポーツ・サッカー
内容:Jリーグ創世記に始まった感動のサッカー作品。主人公・赤星鷹が世界への夢を運ぶ。


「古い葉と新しい葉…」
ひとりのベテランの選手が、その選手生命の終焉を迎えようとする時、そこには新たに若い葉が芽生えてくるのです。
Jリーグができて世界への道も見えてきた日本サッカーの華やかさの影には、世代交代で静かにその選手生活を終えていく姿もあるのです。
そんな華やかだけれど、とても厳しいJリーガーというプロのスポーツ選手の世界が丁寧に描かれている作品です。
ベテランの経験と若手の勢いがうまくマッチしてこそ本当の強いチームができていくのだと感じました。


1993年に10クラブでJリーグが開幕されました。
それまであった日本サッカーリーグのころは、まだまだ人気もなく、観客席はいつも閑古鳥が鳴いているような状況でした。
しかしJリーグができてもう20年以上が経った今、その人気は確たるものになりました。
そんな年にこの作品も連載が始まったのです。


主人公の赤星鷹は、類まれな才能で16歳にしてJリーガーとなります。
そして日本代表にも選ばれ、その世界にも通用するテクニックと度胸で日本代表を引っ張っていきます。
そして初のワールドカップ出場を目指して、仲間たちと共に世界へ向かって羽ばたいていくのです。


ワールドカップ出場のための激しいアジア予選の戦いを中心に描かれていきます。
塀内夏子氏の迫力ある試合シーンはももちろんですが、その戦いの中でのベテランと若手のポジション争いや、怪我との戦いなど、
試合以外での人間模様も非常に面白く読めると思います。
実際の日本代表によって起こった1993年のドーハの悲劇の裏側では、
選手たちの間でこんなドラマがあったのかもしれないと思うと、読んでいても思わず興奮してしまいます。


そして偶然にも2005年には実際のJリーグの浦和レッズから、赤星という選手がデビューしました。
名前こそ貴文と漫画作品とは違っているものの、ポジションも同じで、
まだ20歳という若さのかわいい感じいは、まるでこの作品から飛び出して来たようでした。
さぞや作者の塀内氏も喜んでいることでしょう。
(漫画本エッセイ152)