ヒカルの碁

ジャンプ・コミックス 全23巻

原作:ほったゆみ 作画:小畑健
出版社:集英社
初出時期:1998年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:囲碁
内容:平安時代の天才棋士の霊とともにプロ棋士を目指す少年の、非常に珍しい囲碁を題材にした物語。


少年マンガとしては非常に珍しい囲碁の世界を描いた作品です。
主人公は小学校6年生の進藤ヒカル。
彼が囲碁の魅力にひかれてプロ棋士を目指し、成長していく物語です。
単に囲碁の戦いだけなら、少年誌でここまで人気が上がることは無かったでしょう。
なんと言っても人気となった要因の一つは主人公のヒカルに霊が取り憑くという設定があると思います。
その上その霊が、平安時代の天才棋士・藤原佐為という人物で、そのキャラは非常に美形ときている上に、
ヒカルと佐為の関係が、人間と霊という関係でありながら、とても面白いのです。
さらにヒカルのライバル・塔矢アキラを始め、たくさんの魅力的なキ ャラも人気の要因だと思います。
囲碁のルールを全く知らなくても、読み始めると何故か夢中になっていくのは、そういった面白さからなのだと思います。


囲碁のルールを知らなくても面白いと言うのは、原作のほったゆみ氏の技量による素晴らしさだと思います。
といって実際の囲碁を単に雰囲気だけで描いているのかと言うとそうではありません。
監修に日本棋院所属の女流棋士・梅沢由香里氏がついているだけあって、その内容はしっかりとしたものとなっています。
碁を覚えれば、セリフの中に出てくる専門用語も理解でき、さらに対局の面白さも感じることができるのです。


ともかくそれまで囲碁というのは年配者の愛好家が中心でした。
この作品のヒットにより、小学生・中学生を中心に一大囲碁ブームが起きました。
実際にこの作品に出会って、プロ棋士を目指してみようかなと考えてみた小中学生も少なくないのではないでしょうか。


少々残念なのは、連載が唐突に終了してしまったと言うことでしょう。
その終わり方に「ヒカルの碁終了問題」というサイトまで現れたように、読者の間で様々なうわさが飛び交ったようです。
作者としては、ある時点で終了するつもりだったようですが、
少年ジャンプの作品ではよくある、編集部の要望で引き伸ばすことになってしまい、無理をして伸ばしたので、
作者としても編集部との間がしっくりいかなくなり、そういった形で終了してしまったと言うことのようです。


2001年にテレビ東京系でアニメ化されました。
内容も絵も原作に忠実です。
さらに原作で省かれていた対局の進行状況が詳細に表現されたことなどで、アニメも大人気となりました。
他にもゲーム化もされ、第45回小学館漫画賞や第7回手塚治虫文化賞新生賞を受賞しています。

(漫画本エッセイ151)