ミスターマガジンKC 全20巻
作者:弘兼憲史
出版社:講談社
初出時期:1991年(ミスターマガジン)
分野:青年マンガ
ジャンル:政治
内容:日本の政治の世界を深く描きこんだ正統派政治作品。
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政治という少々難しく、堅苦しい世界を舞台とした作品です。
選挙権を持つ日本人の一人としては当然知っていなければならない内容なのでしょうが、。
実際にはそういった政治の内容は、なかなか知ることのない状況が一般的な状態のようです。
政治家はいったいどのような日常を送っていて、政治活動とはどういうものなのか。
選挙活動の裏側では何が行われているのか。
そういったものを知るためには打って付けの作品だと思います。
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最近の日本の政界は二世議員の数がどんどん増えていっているようです。
この作品の主人公・加治隆介も同様に親の地盤を引き継ぐ二世議員という設定になっています。
地元は今なお噴煙を吹き上げつづける桜島のある鹿児島。
この作品のタイトルにある「議」とは、この地方の方言で「理屈」と言う意味になります。
「加治隆介の理屈」、それは「政治家の究極の目標は人類全体の幸福」
という理想が、実際の政界でどのように通用していくのか、
それがこの作品のテーマになっているのだと思います。
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一見、青臭い理想論に燃える主人公の話ですが、
政治不信の今だからこそ、国民の意識がどうあるべきか、
政治家の姿勢がどうあるべきか、
日本や国連が世界に果たすべき責任は何か、
といものを考えるきっかけにできる作品になるのではないでしょうか。
政治は政治家だけでなく、それを選挙で選ぶ国民も参加し、
大きな影響を及ぼしていると言うことを自覚するためにも、
その世界を知っておくべきではないかと感じました。
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とにかく、多くの人に読んでもらいたいと思うのと同時に、
政治家や官僚を目指す青少年などは、教科書などよりもこの作品で本当の政治の世界を感じてみることで、
リアルな世界を垣間見ることができるのではないでしょうか。
(漫画本エッセイ149)
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