バオー来訪者

ジャンプ・コミックス 全2巻

作者:荒木飛呂彦
出版社:集英社
初出時期:1984年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF・変身ヒーロー
内容:独特の世界観の荒木ワールドが広がる、悲哀と感動に満ちた伝説の変身ヒーローSF作品。


変身モノといえば石ノ森章太郎氏の「仮面ライダー」が代表的な作品として思い浮かぶかと思います。
テレビで放映された実写版の作品と漫画の原作ではだいぶ違ったイメージになっています。
原作では改造されてしまった本郷猛の苦悩などが描かれていて、テレビ版に比べると暗いイメージで、シビアな感じになっています。
この「バオー来訪者」も変身もののひとつなのですが、単なる変身ヒーローものとは違った作品になっていると思います。
バオーが生まれる原因や背景は、ハリウッドの映画を思わせるようなしっかりした観点から作り上げられた完成度の高いSF作品になっていると思います。
◆ 荒木飛呂彦氏の原点となるとなる作品だと思いますが、全2巻と短い期間で終わっています。
タイトルやバオーのキャラが少々マニアックすぎて打ち切りになったのかとも思っていましたが、
どうやら打ち切りではなく、見事にまとめ上げられた短編のようです。
しかしその個性ある絵柄はファンの間ではしっかりとした人気を得て、
この作品をきっかけに、その後の「ジョジョの奇妙な冒険」は非常に長い間連載されました。
人気作家としての地位を定着し、奇才と呼ばれる荒木飛呂彦氏の世界観が確立したのではないかと思います。


内容的には短編ということもあって、あまり話すと面白くなくなる可能性があるので、ここでは控えておこうと思います。
漫画家の寺沢武一氏も「彼の作品は、僕のにおいと、とても近い――」
というコメントを寄せています。
SF漫画というものに魅力を感じて作り上げられているという意識が滲み出ていて、その内容は、
とても悲哀に満ちて感動を感じることのできる作品だと思います。

1989年には50分のOVAが出されています。
見たことはないのですが、東芝デジタルフロンティアからDVDとして出されています。
今現在でも古さを感じさせない内容は、今だからこそアニメ作品で見てみたいと思う楽しみな作品だと思います。

(漫画本エッセイ148)