ヤングサンデーコミックス 全12巻
作者:佐藤秀峰
出版社:小学館
初出時期:1999年
(ヤングサンデー)
分野:青年マンガ
ジャンル:海上保安官
内容:主人公・仙崎大輔が、人命救助という人の命と向かいあった海上保安官の仕事を描いた物語。
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海の上の治安を守る海上保安官という、一般人にはあまり馴染みのない職業が取り上げられた作品です。
第七管区所属のPS型巡視船「ながれ」に、主人公の仙崎大輔が配属されるところから物語は始まります。
そして海の上で起こる様々な事件の中で、感動の人間ドラマが描かれていき、後半になると、海上保安官の人命救助という役割以外の仕事が大輔を苦しめていくのです。
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作者の佐藤秀峰は、医療の現場をリアルに描いた「ブラックジャックによろしく」で、すっかり有名です。
それとはまた一味も二味も違った面白さや感動を堪能できる作品だと思います。
どちらも人を救うという点で似ているかもしれませんが、「海猿」は、一般人があまり知らない海の上での過酷な仕事の中で、実際に起こりえる人の生死に関わる危機に直面していきます。
そしてそこに様々な人間ドラマが映し出されていくのです。
絵柄も「ブラックジャックによろしく」よりも前の作品ということもあって線が荒々しいのですが、それがかえってこの作品に合っていると感じました。
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海の上での非日常的な世界で起こる事件なのですが、そのストーリーや画力から、知らない世界だけど、非常にリアリティー溢れる感動を得ることができます。
涙無しではいられない作品です。
人の生死が問われるような仕事の中で、人が生きていくための一つの答えを見出せるような、そんな深い作品となっているように思います。
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最初にNHKで国分太一主演でドラマ化されました。
2004年には伊藤英明主演で映画化され、2005年7月にフジテレビ系にて連続テレビドラマ化されました。
原作とはちょっと違っていましたが、迫力ある映像は、十分満足するクオリティで、とても感動できる作品に仕上がっていると思います。
(漫画本エッセイ145)
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