ビックコミックス 全7巻
作者:高橋しん
出版社:小学館
初出時期:2000年(ビッグコミックスピリッツ)
分野:青年マンガ
ジャンル:SF・恋愛
内容:「この星で一番最後のラブストーリー」と銘打たれた衝撃のSF恋愛ストーリー。ここからシュウジとちせの物語が始まる。
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内容を全く知らないで読み始めれると、タイトルを見ていなければ単なる恋愛もの?と思いきや、
少し読み進めていくと、ストーリーは唐突に思わぬ方向に展開していきます。
いったいどう展開していくのか想像もできず、どんどん引き込まれていきます。
何と言っても衝撃的なタイトルですが、この先どうなっていくのか展開の予想がつかないストーリーが進んでいきます。
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基本的には「シュウジ」と「ちせ」の物語、といった感じです。
ここではあえて内容には触れないでおこうと思います。
少々刺激的表現もあり、18禁的な描写も出てきますので、その点はご了承しておいてください。
作者によれば、そういったきつすぎる感のある性表現などは、ぼやかすこと無く、しっかりと主人公たちの年代の恋愛を描きたかったようです。
そしてSF的な部分の設定や、戦闘描写、戦争のないようなど、ほとんどそういった部分がハッキリと描かれていません。
あえてそうした作者の意図のようですが、逆にそれが、それぞれの読者の想像力によって膨れ上がったりするわけですから、
ある意味、新しいタイプのSF作品と言ってもいいのかもしれません。
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ともかくこの作品、多くの反響と共に賛否両論、感想は大きく分かれているようです。
そもそもこの作品の生い立ちも、作者の作家としての満足のいく作品を作りたいという欲求から生まれたようす。
そういった作者の感情がストレートに表現されているのだと思います。
だからその表現が読者に合うか合わないか、ハッキリ分かれてくるのではないでしょうか。
自由に描くことができたためなのか、すごく斬新なコマ割りも印象深いでした。
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この作品は海外にも出されているようで、タイトルは「The last love song on this little planet」。
アニメは「She, The Ultimate Weapon」というタイトルになっています。
アニメはまだ見ていませんが、ラストシーンはアニメ版も実写版映画も原作版とは全く違う内容となっているようです。
2006年に、前田亜季の主演で実写版映画が公開されました。
ゲーム化もされ、その人気はマニアの間では絶大なものとなっているようです。
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この作品の中で取り上げている「戦争」というテーマは、他の作品に比べると非常にリアリティーのあるものとなっています。
戦争作品の名作とされている「はだしのゲン」に比べると、違った視点からの戦争の悲惨さ、怖さを感じる事ができました。
好きな人を守るために戦争に行く。
そこで死ぬかもしれない。
しかし戦争に行くということは、たくさんの人を殺しに行くと言うことなのです。
この作品は一度だけでなく、何度か読んでみると、そこからいろんなものが見えてくるような気がします。
(漫画本エッセイ143)
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