ビッグコミックス 全18巻
原作:勝鹿北星
作画:浦沢直樹
出版社:小学館
初出時期:1988年(ビッグコミックオリジナル)
分野:青年マンガ
ジャンル:アクション・サスペンス
内容:本職は考古学を教える大学講師のキートンは保険会社のオプとしても働き、様々な事件に遭遇していく。
◆主人公の平賀・キートン・太一は、日本とイギリスのハーフで、
考古学研究者として大学講師を勤めていますが、他にもう一つの顔を持っています。
英国特殊空挺部隊・対テロ活動で知られるSAS(Special Air Serviceの略称)の元サバイバル教官という経歴があり、
保険会社のオプという調査員としての仕事をしているのです。
そのオプの仕事で様々な事件に遭遇しながらも、元SASという経歴を生かしながら危機を逃れていきます。
◆
オムニバス形式の作品で、1編1編が何だかもったいないほど見事に作られています。
人物描写に定評のある浦沢氏の作品の中でも、特に秀逸な人物描写で知られている作品で、
端役に在っても、深い所にまで掘り下げられて描かれています。
原作は勝鹿北星氏となっていますが、途中からは関わらなくなり、
浦沢氏と出版社の編集者が中心となってストーリーが作られていったらしいです。
そこで印税の問題が発生し、そのために現在は増刷が中断されているようです。
蛇足ですが、勝鹿北星氏は2004年に他界していますが、
「美味しんぼ」の原作者の雁屋哲氏とは電通の同期にして友人で、
主人公の山岡士郎のモデルともいわれているのだそうです。
◆
タイトルの「MASTER(マスター)」というのは、戦いのプロで達人と呼ばれる域に達している人をこう呼ぶのだそうです。
主人公のキートンの風貌は、どちらかと言うと頼りなさそうで、決してカッコイイとはいえず、
ちょっとさえない感じのキャラになっているように思うのですが、
いざという時の元SASの実力は、非常に頼もしいものであり、
違った形のヒーロー像が作り上げられているのではないかと思います。
原作者とのトラブルで少しケチがつきましたが、この名作を埋もれさせてはいけないと思います。
◆
1998年にアニメ化され、日本テレビ系列で放送されました。
残念ながら見ていないのですが、原作に忠実な作画や脚本はクオリティが高く、
かなり出来が良いようで、高い評価を得ているようです。
(漫画本エッセイ132)
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