柔道部物語

ヤンマガKCスペシャル 全11巻

作者:小林まこと
出版社:講談社
初出時期:1985年(ヤングマガジン)
分野:青年マンガ
ジャンル:スポーツ・柔道
内容:高校から柔道を始めた主人公、三五十五の熱血柔道作品。


「1・2の三四郎」で柔道とプロレスを描いた小林まこと氏の本格的柔道作品です。
相変わらず独特のギャグセンスを交えながら面白く読ませてくれます。
主人公の名前が「三五十五(さんご・じゅうご)とは、
「三四郎」の次は「三五」と、数字の語呂が好きなのでしょうか。


中学では吹奏楽部だった主人公の三五十五は、高校に入いると、
ほんの好奇心でなんとなく柔道を始めてしまいました。
練習でしごかれていく中でも柔道の魅力にいつの間にか引き込まれ、
めきめきと実力を付けていき、全国制覇を目指していくのです。


一般的なスポ根作品や格闘作品のような暗さは無く、
あえて言うなら部活に青春を燃やした作品なのではないでしょうか。
汗臭く、先輩後輩の上下関係がきっちりしている部活の経験のある方なら、共感できる作品だと思います。
部活経験が無くても、男の人なら中学や高校の授業で一度は柔道をやった事があるでしょう。
その時の記憶がよみがえってきて、もう一度やってみたくなるのではないでしょうか。
柔道が嫌いな人やルールの解らない人でも楽しく読める作品だと思います。


作者のタッチは、前半は「1・2の三四郎」の時のような荒っぽい迫力のあるタッチだったのですが、
後半に来るにつれ、線が整理され、線のきれいな独特のデフォルメのタッチに変わってきました。
好みがあるのでしょうが、自分としては昔のタッチのほうが迫力があって、
スポーツものにはあっているような気がして好きです。
しかし三五の眉毛は凄まじいほど太い。

(漫画本エッセイ130)