名門!第三野球部

作者:むつ利之
出版社:講談社
初出時期:1987年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:高校野球
内容:落ちこぼれの第三野球部が、1軍に勝つためにいま立ちあがり、甲子園を目指す。


はっきり言って、見栄えのするうまい絵ではなく、
登場人物もそれほど魅力的なキャラクターではないと思うのですが、
純粋に努力と根性で勝利を掴んでいく単純明快なスポーツものとして楽しめる作品だと思います。
野球をやったことのある方なら、
初めて野球をやった時の初めてのヒットや、
初めてのホームランに感激していた頃を思い出すのではないでしょうか。


高校野球界では名門の桜高校の野球部は、
1軍、2軍の他に、落ちこぼれのクズの集まりといわれる3軍の第三野球部があるのです。
その第三野球部に在籍する連中が、1軍に挑戦し、甲子園を目指していくのです。


翌檜(あすなろ)の木は、檜(ひのき)によく似ていますが、
檜のように枝ぶりがよく、高く大きくはなれないのです。
でもこの木は「明日は大きな檜になろう」と、
いつも一生懸命に希望に燃えている木とされています。
主人公の檜あすなろは、こんな翌檜の木のように一生懸命な気持ちで大好きな野球に打ち込み、
希望に向かって突き進んでいくのです。


典型的ないじめられっ子で、何をやってもダメな主人公が、
同じダメなレッテルを貼られた第三野球部の仲間たちと暑い情熱を持って野球に打ち込み、
人間としても少しずつ成長しながら上へ上へと向かっていく姿は、
何事もやってみなければわからないという勇気を与えてくれるのではないかと思います。
絵のタッチやキャラは、どちらかといえば地味な感じの作品なのですが、
それなりの人気はあったようで、
1988年にはフジテレビ系でアニメ化もされ、ファミコン時代にゲームかもされています。
読んでいくうちに元気の出る、良い作品だと思います。

(漫画本エッセイ126)