集英社文庫 全4巻
作者:槇村さとる
出版社:集英社
初出時期:1979年(別冊マーガレット)
分野:少女マンガ
ジャンル:フィギュアスケート
内容:森山亜季実が世界のトップを目指すための道のりを描いた、フィギュアスケート・ロマンの最高傑作!
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最近の女子フィギュアスケート界は、
才能豊かな選手が次々と登場して注目を集め、大分人気も上がっているようです。
そして今や4回転ジャンプという、とんでもないレベルにまで達しようとしています。
しかしこの作品の発表されていた時代は、まだ3回転ジャンプというと物凄いレベルだったようです。
そういう意味でも現在のフィギュアスケート界に比べると、レベル的には見劣りするのかもしれませんが、
フィギュアスケートにかける情熱は今も昔も変わらず、この作品の登場人物たちにも熱いものを感じます。
今読んでも十分に感動できるスポーツ作品だと思います。
少々恋愛チックな感じが強すぎるような気もしますが、その辺は好き嫌いがあるかもしれません。
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主人公の森山亜希美は北海道で、
往年の名選手であった父から幼い頃からフィギュアスケートの英才教育をたった一人で受けてきました。
そして東京へやってきて、シングルの選手として世界で通用する実力を認められます。
しかし展開は思わぬ方向へと進み、シングルで世界を目指すのではなく、
日本ではどちらかと言うと馴染みの少ない、
「ペア」として世界の頂点を目指すという展開となって行くのです。
シングルとしては天才的な実力を持つ二人が、様々な障害や試練と戦いながら、
ペアとしての実力をつけていくのです。
当然そこにはタイトルにあるように「愛」が生まれるわけです。
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槇村さとる氏の絵は、フィギュアスケートの世界を見事に表現していると思います。
紙面からその華麗さや躍動感が素晴らしく伝わってきます。
そしてタイトルにも使われている「アランフェス協奏曲」も、
まるで聞こえてくるかのようにイメージが感動的に伝わってきます。
どんな曲なのか、ぜひ聞いて見てはいかがでしょうか。
切ない感じの曲です。
(漫画本エッセイ122)
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