三丁目の夕日・夕焼けの詩

ビッグコミックス 現在 全61巻・連載中

作者:西岸良平
出版社:小学館
初出時期:1974年(ビッグコミック・オリジナル)
分野:青年マンガ
ジャンル:社会・ヒューマン
内容:懐かしいあの日を思い出が広がる…、メルヘン的に描かれた昭和の人間ドラマ。



土曜日からロードショーが封切られた「ALWAYS―三丁目の夕日」の原作です。
戦後のまだまだ裕福とはいえなかった時代から、
高度経済成長を迎えようとしていた昭和30年代頃のノスタルジーを綴った息の長い作品です。
基本的に一話完結型です。
始まった当初は、戦後の世相を背景にしたストーリーが中心でした。
「夕日町3丁目」という町が舞台となってからは登場人物が固定されて、
ストーリーも生活感のある人間味あふれるものとなってきました。

ほんの数十年前、日本はまだまだこんな時代だったのだと改めて認識させられます。
普及し始めたテレビや自動車など、
高度経済成長を迎えた日本には便利な文明の利器が次々と登場してきます。
しかし、決して裕福とはいえない生活感の中に、
素朴で温かみのある生活感が作者の西岸良平氏の独特の絵柄でほのぼののと描かれています。
次々と便利になっていく今の世の中を見ていると、
不便が無くなるということは、
逆に人の心に余裕と言うものが無くなって来ているのではないかと感じてしまいます。

当時を知らない方でも、この時代の日本は、
こんな生活をしていたのかと感じてみることもいいのではないかと思います。
ほのぼのしたストーリーばかりではなく、
けっこう暗い話や悲しい話などもあり、楽しいだけではなかった時代も感じる事が出来ます。

始まった当初は「夕焼けの詩」というタイトルでしたが、
現在はその上に「三丁目の夕日」というサブタイトルがついており、
ビックコミックオリジナルでは「三丁目の夕日」と表記してあります。
実写化された映画のサブタイトルも「三丁目の夕日」が使われています。

(漫画本エッセイ120)