11人いる!

小学館文庫 全1巻

作者:萩尾望都
出版社:小学館
初出時期:1975年(別冊少女コミック)
分野:少女マンガ
ジャンル:SF
内容:ミステリー調の超著名なSF中編作品。


1970年代と言うこの時代に、少女漫画誌で本格的なSFとして掲載されて大反響を呼びました。
その後も萩尾作品の中でも名作として高い評価を得てきた作品です。
この時代にこれほどしっかりしたSF作品でありながら、
ミステリー色の強いストーリーは、120ページと言うさほど長くない中編作品の中で、
見事な完成度と深い味わいを見せているのではないかと思います。


外部との接触を絶たれた宇宙船内で、53日間生存すれば合格という大学入試
を受ける主人公達は、
10人のはずのメンバーが11人いることに気づきます。
異端は誰なのか、お互いに不信感を抱きながら、
疑心暗鬼のなかでもそこでの生活が始まり、試験が開始されます。


ストーリーの完成度のほかにも、登場する11人がとても魅力的で個性豊かなキャラとなっている点も、
人気の要因のひとつではないかと思います。
スターウォーズやスターとレックなどにでも出てきそうなビジュアルで、
一人一人の性格もしっかりと設定されています。


この作品の登場以降、多くのSF漫画が参考にしていると言うことも聞かれるほど、
影響力が高いものとなっています。
「11人いる!」という題名も高い評価を得ているようです。
続編に「続・11人いる!東の地平・西の永遠」、番外編に「スペース・ストリート」もあります。
第21回小学館漫画賞も受賞しており、テレビドラマ・映画・舞台にもなっています。
1986年にはアニメ化もされています。
どちらかといと映像作品はそれほどの評価を得ていないようです。

(漫画本エッセイ118)