きらきらひかる

ミスターマガジンKC 全13巻

作者:郷田マモラ
出版社:講談社
初出時期:1995年(ミスターマガジン)
分野:青年マンガ
ジャンル:監察医
内容:T大医学部を主席で卒業後法医学に進んだ天野ひかるの活躍を描いた浪速の美人監察医物語。


ちょっと変わった分野の職業を題材にした作品です。
サスペンス系のテレビドラマでは耳にすることがある「監察医」という職業ですが、
とても解 りやすく描かれていると思います。
法医学という分野の監察医は、普通の人の命を救う医学とはちょっと違います。
死者の体を調べるという特殊なものなので、 その分ドラマティックなストーリーが生まれてくるのでしょう。


作風は非常に個性のある絵柄で、好き嫌いが分かれるのではないかと思います。
しかしこの分野の話は、けっこうエグイ場面が多いので、
このくらいの絵の方が抵抗無く読み進められるのではないかと感じました。
サブタイトルにある「浪速美人監察医物語」の「美人」と言うフレーズは、
この絵柄からはちょっと感じられないかなーなんて思ってしまいました。


人は突然の死に見舞われた時、何もメッセージを残すことはできません。
しかし、監察医は死んだ人間が残したかったメッセージを探り当て、聞いてくれるのです。
あまり知識のない分野なので、作品の中で出てくるいろんな事例は、とても興味深く読むことができます。


2000年にフジテレビでドラマ化されましたが、登場人物の設定などはだいぶ変えられていました。
一番印象的なのが、原作に事件のたびに出てくるベテラ ンの中年刑事が、
ドラマでは松雪泰子演じる華麗な女性刑事になっていました。
でも、これはこれでとても面白い設定でした。
全体的に原作とはだいぶ違いますが、原作もドラマもそれぞれがそれなりに良くできていると思いました。


死体を調べる監察医の物語ですが、
人間というものがどう生きて、どう死んでいくのか、とても奥深い作品だと思います。

(漫画本エッセイ104)