KC DELUXE 全6巻
作者:大友克洋
出版社:講談社
初出時期:1982年(ヤングマガジン)
分野:青年マンガ
ジャンル:SF
内容:第三時世界大戦後の新しい東京で始まった壮大なバイオレンスSF超大作。
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世界に誇れる日本漫画界最大の傑作と豪語してもいいほどの作品ではないでしょうか。
世界各国でコミックスが発売されていて、海外からも高い評価を受けています。
他の漫画家達にも多大な影響を及ぼしている作品です。
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大友克洋氏の描き出すビジュアルには、もはや何も言うことはありません。
このKC DELUXEは、漫画では珍しく大判(B5判)の形態です。
この作品に関 してははこのくらいの大きさで見なければ、この作品の醍醐味を味わえないのではないかと思います。
1984年には第8回講談社漫画賞受賞も受賞しています。
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第3次世界大戦後という舞台背景で、日本の新首都ネオ東京を舞台に物語りは始まります。
冒頭から物語が進む上での中心人物となるのは、
タイトルの 「アキラ」と言うよりも、金田と鉄雄が中心に進んでいくわけですが、
この二人の名前の設定には面白いところがあるのです。
金田の本名は「金田正太郎」 といい、これは鉄人28号を操縦する少年の名前と同じなのです。
鉄雄は「島鉄雄」で、これは鉄人28号を作った博士の息子の名前が「敷島鉄雄」と言います。
そしてアキラの実験体ナンバーは「28号」なのです。
これらの鉄人28号との関連性は、作者にとってどんな思い入れがあるのでしょうか。
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金田たちの乗る近未来のバイクのデザイン性も素晴らしいと思います。
様々なフィギュアも作られ、映画の宣伝用展示物として原寸大のものも作られたそうです。
最近の大型スクーターバイクを見ていると、少し同じイメー ジを感じてしまいます。
◆1988年にアニメ映画化され、人気にさらに火がついたのではないでしょうか。
大友克洋氏の手がけるアニメ作品は、世界的にも評価を得てるだけあって、素晴らしいものだと思います。
カラーのビジュアルで音楽のついた映像を、モノクロの世界の漫画より先に見た方も多いと思いますが、
そんな方も後から 漫画を読んでみても、また違った面白さを感じることができると思います。
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ドラマの焦点はアキラなのですが、それを取り巻く人々の様々な思惑が最後の最後まで、息つく暇も無く繰り広げられていきます。
アキラの存在は何なのか。
若者たちはどんな未来に向かっていくのか。
今の日本では考えられないでしょうが、読み終えた後には、妙なリアル感に包まれました。
(漫画本エッセイ101)
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