サイボーグ009

秋田文庫 全20巻

作者:石ノ森章太郎
出版社:秋田書店
初出時期:1964年(少年キング)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF
内容:ご存知9人の悪と戦うサイボーグ戦士の愛と感動の物語。


現在所蔵しているものは文庫版で出された新しいもので、
どういう意図かはわからないけど、発表された順番とは違う構成になっています。
一番最初は009たちが、どういったいきさつでサイボーグとなった が描かれているところから始まります。
004などは、ベルリンの壁で東西ドイツに別れていた時代のところで起こった悲劇からなるのです。
その秋田書店刊SUNDAY COMICSの第1巻が、私にとっての009の始まりなのです。
この書籍は、もうページがばらばらになりそうになりながらも、いまだ大事に持っています。
なんと300ページで定価220円の時代です。
残念ながら数巻行方不明となっており 全巻揃っていないないのが心残りです。


この作品は、何と言ってもサイボーグ戦士の9人の魅力に尽きると思います。
驚異的な知能と超能力までをもつ赤ん坊のイワンこと001。
ウエストサイドストーリーのようなニューヨーカーの空を飛ぶジェット・リンクこと002。
50キロ四方の物音を聞き取る聴力を持つ紅一点フランソワーズこと003。
全身武器の身体のクールなドイツ人ハインリヒこと004。
100万馬力の怪力のネイティブ アメリカンのジェロニモこと005。
口から火を吹く中華料理人の張々湖こと006。
変化自在に変身できる元俳優のグレート・ブリテンこと007。
深海活動に改造されたアフリカ出身のピュンマこと008。
そして加速装置とメンバー最強の完成度とされる島村ジョーこと009。
よくもここまで魅力的な9人を揃えたものです。


009たちをサイボーグにしてしまったブラックゴーストは、
名前こそヒーロー物の悪者と言った感じですが、その設定は非常にリアリティーがあるものになっていると思います。
連載が始まった当時は、ベトナム戦争などの問題が世間を騒がせていて、戦争と言うものがしっかりと背景にあるのです。
そして009たちも 争のために作られた悲劇のヒーローなのです。


後半のストーリーはギリシャ神話や北欧の神話が絡んだものであったり、
ピラミッドなどの世界の七不思議を題材にしたものであったり、
それがすべてSF仕立てとなっていて、SF作品としても相当に奥の深いものになっていると思います。
しかし自分としては前半の方が一番好きで、中でも0013との戦いや、ベトナム戦争での戦い、そして何と言っても、
地底帝国ヨミ編のラストは非常に印象深く、感動しました。

(漫画本エッセイ100)