ビッグコミックス 全16巻
作者:土田世紀
出版社:小学館
初出時期:1994年(ビッグコミックスピリッツ)
分野:青年マンガ
ジャンル:編集者
内容:異色の「漫画出版業界物語漫画」。独特のタッチでリアリティーのある漫画業界が描かれている。
◆
漫画出版業界の物語を綴った、ちょっと異色の作品です。
土田世紀氏の絵のタッチも独特です。
リアリティーの中に、何か不思議な現実離れした感じがした絵ではないかと思います。
◆
漫画家、出版社、書店、読者と、それらをつないでいくのが編集者です。
その編集者が主人公となった物語です。
主人公の桃井環八は、「あしたのジョー」 に憧れてボクサーを目指していました。
実際、「あしたのジョー」に憧れてボクサーになった人もいるようで、
こういったところにも漫画の影響は人生に大きく関わることがあるのです。
その人たちにとってはある意味、漫画は人生の教科書となるのでしょう。
この作品からも様々な漫画に対する熱い思いがバシバシと感じられます。
桃井環八は真っ白な灰になるまで熱く燃えていきます。
◆
実際の漫画業界での作品が出来上る過程での人間関係などがリアルに描かれているため、
ある意味この作品を読むと、漫画と言うものの夢が壊されるのかもしれません。
でもこの作品では業界を単にけなしているだけでなく、
やっぱり漫画が好きだという気持ちが感じられてくると思います。
◆
ネプチューンの原田泰造さんが連ドラ初主演で実写化されました。
先に土田世紀氏の絵柄で読んでいると、かえって実写化は物足りない感じがしました。
実写化されたテレビドラマなどがいまいちでも、この作品の評価が下がることはないでしょう。
(漫画本エッセイ098)
|