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ミクロイドS
少年チャンピオン・コミックス 全3巻
作者:手塚治虫
出版社:秋田書店
初出時期:1973年(少年チャンピオン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF
内容:地球上のすべての虫を支配するギドロンが人類を滅ぼすために攻撃してきた。
◆
もし世界中の昆虫が突然人間を襲ってきたら…、と言う発想から生まれた作品です。
小さな頃から昆虫が好きだった、いかにも手塚治虫氏らしい作品だと思います。
この地球上で最も数と種類が多いのが、実は昆虫なのです。
人類が生まれるはるか昔からこの地球上で生きてきたのです。
人類の60億など比べ物にならないほどの数なのです。
別の見方をすればこの地球は「昆虫の星」と言ってもいいかもしれません。
◆
ギドロンの奴隷として生きてきたミクロイドの祖先は、遠い昔の人間なのです。
人間と同じ血が流れている仲間なのです。
ヤンマとアゲハとマメゾウの3人は、
ギドロンの人類を滅ぼし地上の王者となる野望を人間に伝えるためギドロンの手から脱走をし、
人間たちと共に戦っていくのです。
◆
それほどの長編と言うわけではない作品ですが、中身は濃いと思います。
人間へのギドロンの攻撃が始まっていくと、人間たちは暴動を起こし、
自分のことしか考えず、人間は弱い部分をどんどんさらけ出していきます。
ほんとうに地球のことを考えてい るのは人間なのかギドロンなのか。
◆
相変わらず手塚治虫氏らしく、身も心も街も汚れた人間界が描かれています。
なぜ人間はこの美しい地球を次々と汚し、自然を破壊していくのでしょうか。
手塚治虫氏の作品を読んでいると、本当にこういった問題を考えさせられます。
こういった作品こそ、下手な教科書よりもより、自然科学の学習のために役立つのだと思います。
是非子供たちだけでなく、大人にも読んでもらいたい作品だと思います。
◆
1973年に放映されたテレビアニメもなかなかの人気のようでした。
アニメしか知らない人も多いかと思いますが、漫画作品の方がよりメッセージ性が強いかと思います。
手塚作品を読んで自然を大切にする心を養ってみるのも、いいのではないでしょうか。
(漫画本エッセイ097)