ジャンプ コミックス 全12巻
原作:山川惣治
作画:川崎のぼる
出版社:集英社
初出時期:1971年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:西部劇
内容:日本人とインディアンの娘との間に生まれた「イサム」が荒野を彷徨う、異色の西部劇漫画。
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日本の漫画でここまできっちりと西部劇を題材にしたものは非常に珍しいでしょう。
作画の川崎のぼる氏は「巨人の星」で有名ですが、
もうひとつ忘れてはならない代表的な作品がこの「荒野の少年イサム」だと思います。
西部劇と言う異質な世界を、独特のタッチで精細に描き出しています。
日本人が西部劇の中で銃を撃ち合うなんて、それだけでも楽しくなってしまいます。
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日本の武士・渡勝之進とインディアンの娘との間に生まれたイサムは、母の病死後、父と生き別れました。
ロッテン・キャンプに流れ着き、荒くれ男たちに育てられたのですが、
お尋ね者のウインゲート一家に誘拐され、ガンマンとして育てられたのです。
しかし正義の心を失わなかったイサムはウインゲー ト一家から離れて、
正しいことにのみ銃を使おうと誓い、父を探して荒野を旅するのです。
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1973年にアニメ化になっていますが、原作よりも絵もストーリーも子供向け になっていたらしいです。
原作の絵と比べると、アニメの絵ではちょっと物足りない気がします。
アニメでしか知らない人はぜひ原作の漫画を読んでみたらいいと思うのですが、
なかなか現在では入手が困難で読むことが難しくなっています
もしかしたらどこかの漫画喫茶にはあるかもしれません。
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この作品が連載された頃は、アメリカ映画も西部劇はめっきり少なくなっていました。
アニメが始まった1973年には、ユル・ブリナーの「ウエストワールド」が封切られ、
違った形の西部劇を目にしました。
そしてこの頃「燃えよドラゴン」などの人気で、新しい形のアクションものが流行ってきたのです。
「荒野の少年イサム」ももう数年か後だたら、連載されることは無かったかも しれません。
(漫画本エッセイ080)
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