ワイルド7

ヒットコミックス全48巻
トクマコミックスデラックス全36巻

作者:望月三起也
出版社:少年画報社
初出時期:1969年(少年キング)
分野:少年マンガ
ジャンル:バイオレンス・アクション
内容:7人の型破りな警察官がバイクにまたがり銃をぶっ放して法的制裁の外に逃げた悪を討つ。

◆さすがにストーリー上の時代背景には古さを感じてしまいますが、
それ以外では今読んでみても全く古めかしさは感じられません。
少年誌とは思えないストー リー展開と内容は青年誌顔負けの作品でしょう。
アクションシーンの迫力ある画面。
複雑に練られた構成のストーリー。
バイクなどの乗り物や拳銃などの武器のディテールへの徹底的なこだわり。
凝りに凝ったハリウッド映画のようなスケールの大きさを感じさせます。


何と言っても作者の望月三起也氏の独特の画風は、今でも古さを感じさせない迫力があります。
銃やバイクなどの細かい書き込みは、その手のファンにとってもたまらない物があるのではないでしょうか。
ビジュアル面だけでなく、ストーリーも本当に凝っています。
予測のできない展開には大作映画以上の素晴らしさを感じます。


こういった型破りなヒーローは当時としても珍しいものではなかったでしょうか。
形としては黒澤明監督の「七人の侍」的な感じもしますが、
こちらは馬でなくバイクにまたがり、刀でなく銃を手にした侍でなくて警察官なのです。
ともかく主役となるリーダーの飛葉を筆頭に、オヤブン、ヘボピー、八百、両国、チャーシュー、世界と、
この個性豊かな7人のキャラが最大の魅力でしょう。
他にも新人として入ってきた紅一点のユキやヒロイン役のイコの女性キャラも、望月氏独特の色っぽさで描かれています。


徳間コミック文庫では、最終章の「魔像の十字路」が掲載されていないらしいのですが、
自衛隊関係のストーリーが過激すぎるから削除されたのでしょうか。
まあ、それほどリアリティーのある迫力は、ともかく今でも痛快無比に楽しめる作品だと思います。
1972年に放映されたテレビ実写版はなかなかの出来映えでした。
その後OVAなどでアニメ作品も作られました。
2011年には実写版の映画が制作されました。 監督は『海猿』シリーズの羽住英一郎氏で、主演は瑛太さんです。
(漫画本エッセイ075)