銀牙-流れ星銀-

ジャンプ・コミックス 全18巻
集英社文庫 全10巻

作者:高橋よしひろ
出版社:集英社
初出時期:1983年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:動物・犬
内容:銀たちの犬の世界の猛者たちが集まり、巨大熊の宿敵赤カブトに挑んでいく動物界の感動巨編。


犬の漫画を描かせたら、この人の右に出る人はいないのではないでしょうか。
と言うくらいの犬漫画の大御所だと思います。
動物が実に生き生きと本当に言葉を喋り出しそうに思えてきます。
(作品中では本当に犬同士で喋っているのですが)


この作品の主人公となる熊犬の血をひく銀は、
自分の父親の仇である凶暴な熊の赤カブトを倒すために戦うという宿命を持って生まれてきました。
そして飼い主の少年とともに成長していく、と言う物語なのですが、
実はこれが途中から大きく設定が変わってきます。
最初の方では、犬は人間が熊の赤カブトを倒すための補佐的な役割をする訳ですが、
途中からストーリーは人間から見た世界ではなく、犬から見た犬の世界の中で進んで行きます。
さらにセリフは全て犬同士の会話となるのです。
こんな漫画が今まであったでしょうか。
しかし 違和感は無く、読んで行くと自然に犬たちの世界に浸りこんでいくのです。
犬同士の戦いや男気のある仲間を集めるなど、犬の世界なのに人間味溢れる世界が感じられてきます。
犬版の本宮ひろ志作品というような感じです。


ひとつの大きな目的のために頼りになる力強い仲間を集めていきます。
巨大な敵を倒すために、ひとりまたひとりと大事な仲間を失っていくという、
「少年ジャンプ」得意のパターンです。
しかしそのパターンを犬を中心とした動物界の世界でやるというところが面白いです。
この作品で思い出すのが、昔テレビアニメでやっていた「ガンバの冒険」です。
こちらは確かネズミとイタチの戦いだったと思います。


ともかく、犬好きでも犬好きじゃなくても楽しめる作品だと思います。

(漫画本エッセイ074)