北斗の拳

ジャンプ・コミックス 全27巻

原作:武論尊 作画:原哲夫
出版社:集英社
初出時期:1983年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:近未来SF
内容:世紀末の核戦争後の荒廃した世界に現れた北斗神拳を操る男・ケンシロウの戦いを描く一大格闘巨編。


この作品、ともかく最初に思い浮かぶのは「おまえはすでに死んでいる」の、超有名なキメ台詞です。
主人公のケンシロウは、肉体のツボ(経絡秘孔)を突き、内部から相手を破壊するという「北斗神拳」の使い手で、
掲載誌の少年ジャンプやTVアニメで爆発的人気となりました。
こういった世紀末SFは色々ありますが、この作品が高い人気を誇ったのは、荒廃した世界での単なる戦いだけでなく、
拳法の流派による戦いが繰り広げられることもひとつの要因ではないでしょうか。


199×年、世界は核の炎に包まれ荒野と化し、地球に生き残った人類は、破壊と暴力に支配されてしまいました。
全てを奪い合い、弱者は虐げられるだけの過酷な世界となってしまったのです。
そんな世界にある日ひとりの男が現れました。
その男は、一子相伝の暗殺拳とされる「北斗神拳」を使うケンシロ ウという男。
ケンシロウはそんな世界で暴力だけで弱者から食料を奪っていく族と北斗神拳を使って戦っていきます。


原哲夫氏の画風は、当時少年ジャンプに掲載が開始された時、その劇画チックな絵の迫力にビックリしました。
その迫力あるタッチだけでなく、十数頭身はありそうなデフォルメされた体型にも驚かされました。
今までは少女漫画の方でしか見たことがなかったので、少年漫画では初めてではないでしょうか。


世紀末の荒廃した世界を描いた作品な訳ですが、
こんな世界にしてしまった核を使った人間の愚かさを追求するようなメッセージ的作品と言うよりも、
単純に格闘アクションにスカッとするカッコ良さを感じます。
想像上の拳法ながら、その様々な奥義を満喫できるといった作品だと思います。
主人公のケンシロウ をはじめ、最愛の恋人ユリアや最強の敵ラオウなど、各キャラも大変魅力的で、
ストーリーも後半に行くほど少年誌とは思えないような奥の深い内容になっていきます。


1984年にテレビアニメが放映開始され、大人気となりました。
1995年には『Fist of the North Star 北斗の拳』というタイトルで実写版映画が公開されました。
ハリウッド映画のふれこみですが、日本の東映ビデオと東北新社の共同製作です。
制作費も2億円で、それほどの超大作というわけではないようです。

(漫画本エッセイ072)