うしろの百太郎

KCスペシャル 全6巻

作者:つのだじろう
出版社:講談社
初出時期:1973年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:オカルト
内容:主人公の一太郎が、守護霊の百太郎の力を借りて霊的な事件を解き明かしていく心霊恐怖作品。


今や大人気となっている心霊物漫画としては、この作品が先駆けではないでしょうか。
この作品以降、つのだじろう氏と言えば心霊物と言えるようになるための代表的な作品と言えるでしょう。
主人公の後一太郎は、心霊研究所所長の父と共に、心霊的な様々な怪事件に遭遇していきます。
そして一太郎に憑く 強力な守護霊の百太郎の力を借り、その怪事件を心霊的な立場から解決してい くのです。


当時、心霊ブームが起こったのは、同じ時期に流行った映画の「エクソシスト」などにもよるのでしょうが、
この作品がきっかけになったとも言えるでし ょう。
守護霊、背後霊、霊媒師、エクトプラズムなどと言う初めて聞く様々な心霊用語の不思議さに魅了されたものです。
自分には、どんな守護霊が憑いているのか気になったものです。
そしてこの作品でも紹介されている「コックリさん」は全国的なブームとなり、
その影響でけっこう危ない話もあったように記憶しています。


作者のしっかりした知識と考え方が作品の完成度を高めていると思います。
ただ怖がらせるだけの作品ではなく、学術的な部分からも見た細かい解説は宗教的に偏ることは無く、
過去に実際にあった例なども紹介され、さらに霊を科学的に分析したりするなどされています。
そう言ったことにより、よりリアル感が高められているのではないかと思います。
面白半分に心霊スポットなどでふざけていると、どうなってしまうのか、この作品から学べると思います。
だいぶ古い作品ですが、今でも古さを感じさせることなく読むことができます。
まあ、霊の世界に古い新しいは無いからなのでしょうか。

(漫画本エッセイ066)