講談社コミックス 全5巻
作者:永井豪
出版社:講談社
初出時期:1972年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF
内容:不動明はデビルマンとなり、人間を悪魔の手から守るための戦いが始まる。
奇想天外なスケールで黙示録の世界を描いた超大作。
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数あるマンガの中でも自分の中ではナンバー1にランクされる作品です。
現在所蔵する講談社コミックス全5巻は、昭和47年発行の初版本で、古さのため所々ページが取れ始めています。
定価を見てみると、当時は1冊250円でした。
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太古の昔、地球上を支配していたのはデーモン族でした。
氷河期と共に滅んだと思われていたデーモン族は氷の中で生き残っていて、現代の世の中に蘇ろ うとしていたのです。
不動明は親友の飛鳥了の導きで、デーモン族から人間を救うには、
デーモン族の力を手に入れるため悪魔と合体してデビルマンとなって戦うしかないと告げられます。
人類を守るためにデーモンと合体し、デビルマンとなった不動明。
その手に入れた強大な超能力でデーモン族と戦っていきます。
しかし、守られる「人類」、守るために戦う「デビルマン軍団」、人類から地球を取り返そうとする「デーモン族」、
この図式が崩れて行き、その先には非情なる運命が待ち受けているのです。
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この作品は21世紀に入った現在でも、読み返すたびに作品の持つ凄まじいエネルギーに圧倒されます。
その時代ごとに奥底にある不安とシンクロして、感動の嵐に巻き込まれてしまいます。
現代においても、全く古さを感じさせない作品だと思います。
作者の弁によると、「デビルマン」の原点となったのは、幼い時に読んだダンテの「神曲」なのだそうです。
なるほどと思いましたが、幼い時にこんな凄まじい内容のものを読むなんて凄いことだと思います。
だからこ そ生まれた作品なのだと感じました。
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当初はTVアニメシリーズのために作ったストーリー設定だっただそうですが、
TVと連動させて雑誌連載もやることになり、少年マガジンに描き始めたのだそうです。
TVアニメは1972年に放送が開始され、主題歌などにもあるようにヒーロー的なイメージで大ブームになりました。
しかし漫画作品の方はTVアニメとは全く違った展開へと進み、奇想天外なエンディングが待っているのです。
2004年に実写版映画が公開されましたが、不動明と飛鳥了が双子であるなど、登場人物の設定が大きく異なったり、
理解不能な場面も多く、だいぶ酷評の声が上がっていたようです。
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この作品、今までの人類の歴史と照らし合わせると、とても面白く感じると思います。
いつの時代も戦いに明け暮れてきた人類。
なぜ同類同士で殺しあわ なければならないのか。
最後の数十ページは、「人類とは」「人類の考えた悪魔とは」など、いろいろ考えさせられます。
(漫画本エッセイ064)
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