てんとう虫コミックス 全16巻
作者:藤子不二雄A
出版社:秋田書店
初出時期:1964年(月刊少年)
分野:少年マンガ
ジャンル:ギャグ
内容:顔は無表情でへの字口。だけど心の中はとても温かいハットリクンが、いろんな忍法で大活躍。
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伊賀の里の少年忍者である「服部貫蔵」ことハットリくんは、ケンイチくんのうちへ修行にやってきました。
忍者作品の定番となる、伊賀忍者と甲賀忍者の対決という形になっています。
弟の「シンゾウ」や、宿敵の甲賀忍者「ケムマキ」、伊賀の忍者犬「獅子丸」、甲賀の忍者猫「影千代」など、
様々な楽しいキャ ラクターが揃っています。
しかし、なぜいつも伊賀忍者が善い者で甲賀忍者が悪者という図式になっているのでしょうか。
やはりそれは、伊賀忍者の服部半蔵が徳川幕府に召抱えられるようになったというところが大きいのでしょう。
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ハットリくんが居候していたケンイチくんの家は、ハットリくんの手により改造されました。
床の間の掛け軸の裏に階段があったり、どんでん返しの扉などの仕掛けがあったりと、
小さい頃は自分の家にこんな仕掛けがあったら楽しいだろうなあと、憧れていたものです。
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初出は「月刊少年(光文社)」で1964年と相当古い時代に登場しました。
3年間連載され、1971年にテレビアニメが始まり、人気が高まっていったようです。
その後1981年に新しいテレビアニメ化をきっかけに、
小学館の「月刊コロ コロコミック」「てれびくん」などで連載が再スタートしました。
そして2004年には香取慎吾主演による実写版の映画が公開されました。
実は実写版は、これよりもっと以前の1966年に、実写テレビドラマ化されていました。
このときのハットリくんは、原作と同じ「顔のマスク」を被った何ともユニークなビジュアルでした。
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「ドラえもん」「オバケのQ太郎」「パーマン」など、藤子不二雄作品には 様々なキャラクターがいますが、
とかく藤子不二雄A氏の作品は、ちょっと地味だけど不思議なキャラクターが多いような気がします。
「ハットリくん」はいつも同じ無表情な顔をしていますが、
その奥には人間味溢れる温かい心が隠されているのです。
大人でも楽しめる作品だと思います。
(漫画本エッセイ058)
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