手天童子

KCスペシャル 全5巻

作者:永井豪
出版社:講談社
初出時期:1976年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF・怪奇
内容:15歳になった主人公、手天童子郎の前に現れた鬼。次々と展開する壮大なSF超大作。


非常に良く練られた素晴らしいSF作品です。
現在・過去・未来、そして異次元、宇宙空間と、いったいどうなるのだろうと心配になるほどの展開が続いていきます。
永井豪氏には失礼かもしれませんが、結末も完璧に締めくくられています。


タイトルの「手天童子」からもわかるように、その昔、平安時代に酒天童子と呼ばれる鬼伝説がありました。
そのはるか昔の鬼伝説を現代に結びつけた、見事な作品となっています。
永井豪氏の描く鬼のフォルムは、実に迫力があると感じました。
大暗黒死夜邪来の像などは、ほんとうに実在しそうなほどの素晴らしさだと思います。
そして鬼獄界に君臨する大暗黒死夜邪来の正体はいったいなんなのか。驚くべき結末が待っています。


平凡に暮らしてきた主人公、手天童子郎(しゅてんどうじろう)。
15歳になった時に待っていた運命は、鬼と関わりのある、信じられないような非日常の世界へと引き込まれていきます。
そして特殊な能力に目覚め、戦慄の怪事件の渦中に巻き込まれていく のです。


次々と繰り広げられる展開には、飽きさせることなく一気に読み進めることができます。
読み終わってみれば壮大なひとつのドラマが完結した充実感で満たされることと思います。

(漫画本エッセイ055)