少年チャンピオン・コミックス 全2巻
原作:光瀬龍 作画:萩尾望都
出版社:秋田書店
初出時期:1977年(少年チャンピオン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF
内容:神によって作られた宇宙、地球、その神を叙事詩的につづった壮大なSF超大作。
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少女漫画界の御大である萩尾望都氏の作品ですが、光瀬龍氏のSF小説が原作となっています。
この壮大な宇宙黙示録的な作品を漫画化した萩尾氏の力量には驚きでした。
全2巻と短めですが、読み終わった時の満足度は非常に高いものでした。
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神の天地創造から始まり、プラトンがアトランティスの伝説を語り始めます。
そして次々と出てくる聞いたことのある登場人物には興味がどんどんひかれていきます。
作品の中心となる阿修羅王に始まり、仏教の悉達多(シッダルタ)、キリスト教のイエス、ユダ、そして帝釈天、弥勒らが、
時空を越え、全宇宙的な壮大な叙事詩的が繰り 広げられていくのです。
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萩尾望都氏らしい美しく描かれた阿修羅王は、全ての破壊、宇宙の悪と言われています。
そして救世主と言われる弥勒と、果たしてどちらが悪でどちらが善なのか…。
キリスト教や仏教の祖が主人公と言う途方も無い展開で、
地球の創生の理由や様々な言い伝えを独自の解釈で壮大なSF超大作となっています。
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内容は非常に難しいですが、一度は読んでみても損は無い作品です。
いや、一度読んだだけでは理解することは、なかなか難しいと思います。
何度か読むうちに、様々なことを感じることができると思います。
20代、30代、40代と、その世代ごとに読んだ時の感じ方が違ってくると思います。
思春期にこの作品との出会いで、人格形成に大きく影響を最も及ぼしたという人もいるくらいに、 影響力のある素晴らしい作品です。
(漫画本エッセイ052)
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