原始少年リュウ

 
竹書房文庫 全2巻

作者:石ノ森章太郎
出版社:竹書房
初出時期:1971年(少年チャンピオン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF・古代
内容:原始の時代に生まれたリュウは、母を探し求める旅に出た。


この作品に最初に出会ったのはテレビアニメでした。
「サイボーグ009」が好きだった私にとって、この作品も同様に魅了されました。
そして原始時代というテーマも、当時はとても斬新でした。
石ノ森氏の画力の素晴らしさもあり、襲ってくるティラノサウルスには、
二次元の紙面の中にもかかわらず「ジ ュラシックパーク」にも劣らない恐怖を感じていました。
巨大なティラノサウルスや大自然の脅威から見たら、ひとりの人間など、本当に小さいものだと感 じてしまいます。


テレビアニメでは感じなかったのですが、萬画(石ノ森章太郎氏の作品なのであえてこう書きました)を読むと、
非常に優れたSF作品であると感じました。
作品冒頭のプロローグに書かれている言葉が非常に印象深かったです。
舞台は原始時代なのですが、ここではそれが過去なのか未来なのかは、はっきり と語っていません。
そこがこの作品の奥深いSF作品となっているところなのです。


呪われた白い肌の子として生まれたリュウは、この時代の人間達とは少し違 っていました。
火を起こす事を知っていたり、武器を作ったり、それが何故かは最期の展開の方でわかってきます。
最後の展開には思わずうなされてしまいました。


リュウの道


竹書房文庫 全5巻

作者:石ノ森章太郎
出版社:竹書房
初出時期:1969年(少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF
内容:変わってしまった未来の地球で、リュウは人類の存亡を探し求める。


テレビアニメで放映された「原始少年リュウ」よりも、先に描かれていた作品です。
この後に「番長惑星」も描かれ、「リュウ3部作」となっているのです。
原始時代が舞台になっていた「原始少年リュウ」とは違い、この作品は遠い未来の地球が舞台の物語です。
石ノ森章太郎氏のファンの中には、石ノ森作品の中で最高傑作だという人も少なくありません


宇宙船に密航したリュウは、往復路40年のコールドスリープに入れられたまま地球に帰ってきました。
40年間の永い眠りから目覚めると、他の船員は全て宇宙の病原菌のために死亡していました。
ひとり生還することができたリュウが見たものは、あまりに変わり果てた姿と化した地球でした。
そう、浦島太郎状態です。
しかしリュウは、その荒れ果てた地球をどうしても受け入れるこ とができず、あくまでも地球の何処かにまだ文明が残っていると信じ、
危険を承知で残されているはずだと信じる文明と人間を探しに行くのです。


次々と現われるミュータント化した生物の設定や様相のデザインやアイディ アは、非常に優れたものだと感じました。
石ノ森章太郎氏の想像力に感服いたします。


最初の方のリュウのセリフで「また戦争をやって、人間は自分自身を滅ぼしてしまったんだ」と言うものがありますが、
この一文を取り出して現代の世の中を見てみると、絵空事では済まないような気になってしまいます。
最期の方に読み進めていくと、人間にとって地球とは何か?
進化した文明とは何か?
地球にとっての人類は?
などと、すごーく考えさせられる作品です。

(漫画本エッセイ050)