モーニングKC 全32巻
作者:かわぐちかいじ
出版社:講談社
初出時期:1988年(モーニング)
分野:青年マンガ
ジャンル:社会
内容:一隻の原子力潜水艦が、ある目的のために世界中を巻き込んで戦いを繰り広げる。
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非常に社会的にも影響力のあった作品です。
題材が原子力潜水艦だからと言って、単なる戦争物ではありません。
現代の政治的、社会的な背景描写が非常に丁寧に描か れている作品です。
しかし戦闘シーンもけっこう多く、作者のかわぐちかいじ氏の画力の素晴らしさは、
海底での原潜同士の戦いなど、凄い迫力を感じさせてくれます。
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「やまと」と名乗るその原潜自体と乗組員が独立国家を宣言するという、途方も無いストーリーです。
当時、あまりにもリアルなシチュエーションに、国会でも取り上げられたのです。
原潜が独立国家などという事実を許さないアメ リカ合衆国とやまとと、それを取り巻く各国が、激しい攻防を繰り広げます。
よくもここまでのストーリーができたものだと、感嘆する展開です。
世界平和のための戦い。世界平和のための「核」。
現時点の世界のために、是非とも政治家の方々も読んで参考にしていただきたいと感じました
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ともかく、やまと艦長の海江田の予想もつかない戦略で米艦隊を次々と撃破していく爽快感も楽しいのですが、
国会や選挙、米議会、国連総会などの描写も、派手ではないですが、見ごたえのあるものになっていると思います。
なかなか過激な考え方の作品だとは思いますが、一度じっくりと読んでみる価値はある作品だと思います。
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2時間枠の特番としてテレビ放映の予定でアニメ化されたのですが、諸事情により放映は中止され、
1995年にビデオでリリースされたそうです。
その後、1996年にTBS系列の深夜枠でテレビ放映されました。
冷戦終結などの国際情勢の変化に合わせて、内容は一部変更されているようです。
やはり世界情勢的にも影響力のある作品のようです。
(漫画本エッセイ048)
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