パイナップルARMY

ビッグコミックス 全8巻

原作:工藤かずや
作画:浦沢直樹
出版社:小学館
初出時期:1985年(ビッグコミック・オリジナル)
分野:青年マンガ
ジャンル:社会・ヒューマン
内容:戦闘のインストラクターを稼業をする主人公と、その依頼人たちとの人間ドラマ。


ベトナムで勇猛をはせた日系の元軍曹、ジェド豪士(ゴーシ)は、民間軍事援助組織CMAに籍を置き、
ニューヨークで民間人相手の戦闘のインストラク ターを家業としていました。
自分は戦わず、戦いかたを教えるだけと言いながらも、最後にはいつも依頼人の手助けをしてしまうところは、
日本人の血が流れる豪士の人情深さなのでしょうか。


戦闘の仕方など全く知らない女性や子供などの一般人が、突然事件に巻き込 まれてしまい、
どうしても自ら戦わなければならなくなってしまう事態となり、
非力な一般人は豪士の元で戦闘のレクチャーを受け、敵と戦うのです。
ちょっと違った形の勧善懲悪モノと言えるかも知れません。
ある意味、ベトナム帰還兵の問題 を抱えた銃社会アメリカを象徴するような作品だとも言えると思います。


基本的には一話完結型で、多様な人間模様が描かれています。
戦闘に関する様々な武器の扱いや戦略は、なかなか細かく描かれているため、
単なる人間ド ラマに終わらないリアリティのある面白さを感じます。


作者の浦沢直樹氏は、スポーツ物からこういった社会的なものやサスペンス物など、
多岐の分野にわたって多くの作品を作り上げていますが、最初の頃から作風はあまり変わっておらず、
どの分野のものにも合う、とても見やすい絵だと思います。
この作品を映像化したら、なかなか渋い、いいものができそうな気がします。

(漫画本エッセイ047)