海のトリトン

秋田文庫 全3巻

作者:手塚治虫
出版社:秋田書店
初出時期:1969年(サンケイ新聞)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF・海洋ファンタジー
内容:大いなる海を舞台に、トリトンとポセイドン族の戦いを描いた、海洋SFファンタジー。


ともかくこのテレビアニメの主題歌が大好きで、マンガ本で読むより先に、のめりこんでいた作品でした。
今でも高校野球の応援に、この主題歌が使われているのは、やはりノリガよく、勢いのある歌だからでしょう。
当時この作品はちょっと風変わりな登場をしました。
1969年の9月1日のサンケイ新聞で連載が開始されたのです。
新聞での連載のためかコマ割りが細かすぎて、小さい文庫本だとちょっと見ずらい感じがしました。
しかしストーリー漫画で毎日の締め切りをこなすなどということは、手塚治虫氏でなければできないことでしょう。


海の支配者であるポセイドンに絶滅されたトリトン族の生き残りであるトリ トンは、陸の人間に拾われて育てられました。
驚くべき速さで成長すると海に帰ってしまうのです。
そして仲間のイルカ達と、もう一人のトリトン族の生き残りであるピピ子(アニメではピピだったような)と共に、
ポセイドン族との死闘を繰り広げていくのです。


この作品を読んでいると、人間が母なる海を汚していることなどが、所々で皮肉られているのです。
トリトンにとって本当の敵はポセイドンなのか、それとも陸の人間なのか、ということを考えさせるのです。
そして海の主のような大海亀のガノモスの言葉は非常に感銘の受けるものでした。
その言葉には、この作品を通して手塚治虫氏の伝えたいメッセージが込められているのだと思います。
(漫画本エッセイ045)