アフタヌーンKC 全10巻
作者:岩明均
出版社:講談社
初出時期:1990年(アフタヌーン)
分野:青年マンガ
ジャンル:SF
内容:人間の脳に寄生して神経を支配してしまう謎の生物。共生できた新一の戦いが始まる。
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ある夜、宇宙から未知の生命体が降ってきました。
その寄生生物は人間の脳を乗っ取って肉体を操り、他の人間を主食とするのです。
平凡な高校生活を送 っていた主人公の泉新一に、その生物が寄生しようとしてきました。
しかし脳を奪うことに失敗し、右腕に寄生して共生する形となったのです。
新一は、その寄生生物を「ミギー」と名づけ、完全に寄生されてしまった「寄生獣」との戦いが始まるのです。
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永井豪氏の「デビルマン」の焼き直しという人もいるようですが、それを超えたとかいう人もいるようです。
しかし、全く違った作品だと思います。
「人間」の生物的な位置付けや、いったいどちらが善で、どちらが悪かという問いかけなど、
似てい る部分も多少あるかと思いますが、
どちらが上とか比べられない優れた作品だと思います。
個人的な好みの差になってくるでしょう。
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作中で問い掛けられる「人とは?」という問題に対する作者の哲学観念は、
バブル崩壊後の日本の新しい考え方なのでしょうか。
新世紀においてこそ、読んでみる価値のある作品だと思います。
ミギーの言った「私の仲間はただ食っているだけ、生物なら当然の行為じゃないか」というセリフなどは、
単なる超能力格闘漫画じゃない、地球上での生物としての「人間」を考えさせてくれました。
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人間は、おそらく地球上で、いや太陽系で唯一の知的生命体であるわけです。
しかし地球上に数多く住む他の生物と同じひとつの生物だと言うことを、文明の進化したこの21世紀だからこそ、
もっと考えていかなければならない時なのかもしれません。
そんなことを考えさせられる作品です。
(漫画本エッセイ043)
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