デロリンマン

徳間コミック文庫 全2巻

作者:ジョージ秋山
出版社:徳間書店
初出時期:1969年(少年ジャンプ)
分野:少年マンガ
ジャンル:ギャグ・ペーソス
内容:ギャグ漫画として軽く描かれているが、内容は非常に重い問題作。


この作品はギャグマンガとして少年誌に登場したわけですが、
実はその内容はギャグマンガとは言えないような重いものが隠されているのです。
人間が生きて行く中での残酷な部分を、軽いタッチながら、ずっしりと重く表現していると思います。
子供向けと言うよりも、大人が読むべきマンガかもしれません。


人間の悲哀を全て背負っているようなデロリンマンと名乗る男。
顔は傷だらけで、般若のような様相をした醜さで、ぼろのマントを身にまとった奇怪さなのです。
「正義は愛によって生まれる」と説くデロリンマンと、
「力のある者が正義」と言う、やはり謎の人物である「オロカメン」のやり取りなどは、
思わず読み手が考えさせられてしまう内容となっています。


少年ジャンプでの連載終了してから何年か後に少年マガジンで再開されました。
だいぶ古い作品のため、絵もだいぶ古さを感じてしまいます。
ギャグに関しても、なかなか理解できないと思いますが、
それとは別に何かを感じることができる作品だと思います。
人間の奥底にある業を描き出し、
社会的な問題作を数多く作り出しているジョージ秋山氏の原点を感じさせるような作品だと思います。

(漫画本エッセイ035)