夏子の酒

モーニングKC 全12巻

作者:尾瀬あきら
出版社:講談社
初出時期:1988年(モーニング)
分野:青年マンガ
ジャンル:社会・酒造り
内容:主人公の夏子が、幻の日本酒を作り上げるために情熱を燃やす。


杜氏(とうじ)と言うリーダーを中心に、手作りでの昔ながらの手法で日本酒造りを行う酒造元での物語です。
こういった自分の知らない世界の話は、小説などよりも絵がある分、マンガの方が解りやすく、面白く読めると思います。
尾瀬あきら氏の絵 もこういった作品に合った作風だと思います。


酒造元の娘として生まれた夏子は、東京でのコピーライターの仕事をやめ、 新潟の実家を継ぐことになりました。
兄の意思を継ぎ、幻の酒を作り上げる めに情熱を燃やすのです。
その酒を作り上げるためには、酒の元となる米から作らなければならないのです。
それは近年では作られていない幻の酒米である 「龍錦」。
昔ながらの作り方でなければ育てられないこの酒米は、
現在の近代農法の農家との確執を生み、夏子を苦しめるのです。
この作品では、酒造りだけでなく、米作りの厳しさと、近代農法の矛盾を知ることもができました。


古いやり方が全て良いという訳ではないですが、
進歩した近代技術の今の世の中で、昔ながらのやり方というものを知っておくことは大切なことだと思います。
いつも飲んでいる酒も、こんな風に作られているんだと知っているだけで、味わい方も変わってくるように感じます。


1994年には、和久井映見主演でテレビドラマ化せれました。
米作りの再現のために1年を通じたロケまで行われ、たいへん良くできていたと思いました。
今までDVD化されていなかったのですが、2010年5月に4枚組DVD-BOXとして発売されました。

(漫画本エッセイ030)