仮面ライダー

中公文庫コミック 全3巻

作者:石ノ森章太郎
出版社:講談社
初出時期:1971年(ぼくらマガジン→週刊少年マガジン)
分野:少年マンガ
ジャンル:SF・ヒーロー
内容:改造人間「仮面ライダー」が悪の組織ショッカーから地球の平和を守る。


今でも子供たちに大人気のヒーロー「仮面ライダー」、その原点です。
漫画作品の方はテレビ版と同じで、最初に本郷猛が改造されるところから始まります。
そのあと蝙蝠男が出てくるのも同じなのですが、
話の内容は石森節で、どこか悲しい、孤独な改造人間にされてしまった主人公の悲哀が感じられます。


テレビ版は最初、「変身!」とは言っておらず、バイクに乗ったまま変身していました。
漫画でも「変身!」と言っていないのはもちろん、仮面は自分で 被っているのです。
しかしこの「変身!」と言う言葉ができたおかげで、ここまでの仮面ライダー人気が起こったのでしょう。


「仮面ライダー」と言うと、どうしてもテレビの方が圧倒的な認知度で、低年齢層に人気な訳ですが、
漫画作品の方は単なるヒーロー物というよりも、SFサスペンスタッチの大人にも楽しめる作品だと思います。
ショッカーの怪人もリアリティーのある不気味さを感じます。
そして作者の本当のコンセプトが何かを 感じさせてくれます。
自然の中の実際の動植物をモチーフにした仮面ライダーやショッカーの怪人たちは、
大自然の中で人類の文明は、どう共生していくべき なのか、そんなことも考えさせられてしまいます。
残念ながら漫画作品の方は、早い時期に終了してしまいましたが、もう少し先まで見てみたかったと感じました。


現在のテレビ版は、だいぶ様相も変わってきましたが、
これほどまでも長い年月にわたって子供たちに人気のヒーローは他に類を見ないすごさだと思います。
講談社から出された「仮面ライダーをつくった男たち」という漫画作品は、
仮面ライダー誕生の秘話などが知ることができ、大変面白いです。

(漫画本エッセイ029)