BANANA FISH

別コミフラワーコミックス 全19巻
作者:吉田秋生
出版社:小学館
初出時期:1985年(別冊少女コミック)
分野:少女マンガ
ジャンル:ハードロマン
内容:バナナフィッシュの謎に巻き込まれた少年達に、暗黒街の魔の手が伸びる。


別冊少女コミックに連載されていた少女マンガなのですが、内容は実にハードでスリリングな物語です。
少女マンガは苦手と言う方でも、充分満足できる作品だと思います。
ともかく主人公のアッシュ・リンクスのキャラクターが光ります。
IQ200の知能と、完璧なまでの射撃の腕前を持ち、ニューヨークでストリート・キッドのボスとして君臨しています。
その過去には凄まじい生い立ちが隠されているのです。


作者の吉田秋生氏の作品は、アメリカを舞台とした作品が多いようです。
この作品もアメリカのニューヨークを中心とした舞台になっています。
冒頭からいきなり出 てくる「バナナフィッシュ」と言う言葉。
その謎に迫っていくと、マフィアや国家レベルにまで絡んでいくのです。
陰謀、銃撃戦、殺戮、犯罪と、まるでハリウッドの映画を思わせるようなハードな内容で物語は進んでいきます。
全19巻という長編も、飽きさせることなく一気に読み進めることができると思います。


長い連載のためか、第1巻と最終巻では、全くタッチが変わっています。
最初はちょっと荒々しい感じで、人物なんかは大友克洋氏のタッチに似ているような感じがしました。
最終巻ではすっかり感じが変わり、洗練された描線で、少女マンガと思える絵になっていました。
どちらがいいかは好みでしょう。 コマ割りも少女マンガにしてはシンプルで、見やすいと思います。


1994年にはNHK-FMでラジオドラマが制作されています。
2005年と2009年には、
劇団ひまわり・ブルーシャトルに所属する男性メンバーで作られた実力派演劇ユニットのアクサル(Axle)により、
舞台化もされています。

(漫画本エッセイ024)