イティハーサ

ハヤカワ文庫 全7巻
作者:水樹和佳子
出版社:早川書房
初出時期:1986年(ぶ〜け)
分野:青年マンガ
ジャンル:SF・古代
内容:超古代の日本を舞台に繰り広げられる、神と人とのSF大河ロマン。


舞台は一万二千年前の古代日本。
「目に見えない神々」によって原始の生活から抜け出る為の知識を与えられた人間が、
暮していた国での物語です。
三千ページにも及ぶ神と神、人と人との闘争が描かれた、
壮大な超古代SF大河ロマンです。
最後まで読み終わった後には、この作品の世界にどっぷりとはまり込むことと思います。


緻密な描線で描かれている絵は美しく、
この絵だけでも思わず誌面に引き込まれていきます。
コマ割りもメリハリがあり、非常に読みやすく、テンポよく読み進めるこ とができます。
各キャラがしっかりと設定されているため、
それぞれの登場人物像が非常に生き生きと感じられました。


この作品の世界に読者を引き込んで行く理由の一つには、
一種独特の漢字を使った言葉や名前ではないかと思います。
「真言告(まことのり)」「波長(ひびき)」 「亞神(あしん)」「威神(いしん)」、
「真魔那(ままな)」「青比古(あおひこ)」「鷹野(たかや)」などなど、
これらの不思議な響きを持つ言葉が、
空想の世界から現実的なイメージへ近づけているのではないでしょうか。
「言霊」と言う言葉が思い浮かんできます。
「イティハーサ」は、サンスクリット語で「歴史」を意味するそうです。

(漫画本エッセイ019)