ブッダ

潮ビジュアル文庫 全12巻
作者:手塚治虫
出版社:潮出版社
初出時期:1972年(希望の友)
分野:青年マンガ
ジャンル:宗教
内容:仏教の開祖「釈迦」の伝記物語。

誰もが学校で習った時は、おかしな名前だと感じた「ゴータマ・シッダルタ」という名前は、
仏教の開祖である釈迦の本名です。
教科書なんかで薄っぺらく勉強するよりも、
この作品を読んだ方がよほどいい勉強になると思います。
良いマンガを読むということは、時に学校の勉強よりも身になるのではないかと思っています。

この作品、こいう題材にしては宗教色はそれほど強くなく、
非常にわかりやすく描かれていると思います。
仏教の開祖としてのブッダというよりも、
なんとも弱いひとりの人間のドラマとして描かれていると思います。

ブッダ自身のドラマだけでなく、ブッダに係わる人たちそれぞれの人間ドラマは、
ブッダ以上に興味深いものがありました。
大変複雑な宗教というテーマの中で、人間の生死や差別などが、
手塚治虫氏の独自のタッチで表現されていると思います。

マンガというメディアが、こういう題材までをも表現することができるということを、
世間に知らしめた作品だと思います。
海外でも高い評価を受けているようです。
今から3500年も前の宗教上の人物の生涯をマンガにするなどとということは、
手塚治虫氏でなければできない偉業でしょう。

(漫画本エッセイ010)