F(エフ)

ビッグコミックス 全28巻
作者:六田登
出版社:小学館
初出時期:1986年(ビッグコミックスピリッツ)
分野:青年マンガ
ジャンル:カーレース
内容:群馬の暴れん坊がカーレースの世界に入り込み、様々な波乱の中で頂点を目指す。

とんでもなく破天荒で自分勝手に気ままで、さらに助平な主人公の赤木軍馬。
運転免許も持っていなかった主人公が群馬県の田舎の走り屋から、
世界を舞台にするF1レー サーに挑んでいくというお話です。

この作品、単にF1レーサーに挑むカーレースの物語だけに留まらず、
深い人間模様も描かれているのです。
軍馬に関係する周りの人間一人一人の生き様などが、丁寧に描かれていると思います。
特に軍馬の父親である赤木総一郎の生き様は凄まじく、
親にしてこの子ありのように、
ある意味、赤木軍馬と赤木総一郎の父子の物語と見てもいいかもしれません。
しかしメインのF1レースも細かく描かれていて、
その世界が内側から垣間見ることができるのは大変面白いです。

F1ということで舞台は世界中に及び、
時代も赤木総一郎の回想として戦後の日本の状況なども描かれ、
壮大な全28巻の長編大作になっています。
作品中にはアイルトン・セナやアラン・プロスト、
マンセルなどの当時の本物のF1レーサーも実名のまま登場してきて軍馬と戦うと言うのも、
とても懐かしく、おもしろいです。
ちなみに絶版になっている初出の単行本の表紙は、
非常にデザイン的に素晴らしいと思いました。
見たい人は漫画喫茶に行くとあるかもしれません。
それと単行本の各巻号タイトルと一話一話のタイトルが、
全て 「F」で始まる英語だと言うのも、なかなか凝っていると思いました。

1988年にはアニメ化され、フジテレビ系列で放映されました。
2002年には続編となる『F REGENERATION 瑠璃』が発表され、
2009年にはシリーズ最新作の『F FINAL』が登場しています。

(漫画本エッセイ004)