Jets comics 全5巻
作者:樹なつみ
出版社:白泉社
発行時期:1993年(メロディ)
分野:少女マンガ
ジャンル:SF
内容:人類が移り住んでいた地球から遠く離れた星での未来の物語。
◆
作者の樹なつみ(敬称略)は、今まで一度も読んだことはなかったのですが、
先日知人に「おもしろいよ」と言われて読んでみたら、これが相当おもしろい作品でした。
少女漫画はそれほど得意ではないのですが、
絵もストーリーもそう言う分野にとらわれないほど素晴らしいものでした。
全5巻とそれほど大長編ではないのですが、
聞くところによると、完結までになんと10年の歳月が掛かっているというのです。
そう言う意味では大長編なのかもしれません。
SF好きな(特に宇宙物)私にとっては、ハリウッド映画に匹敵するような作品だと感じました。
◆
まずこの漫画の良かったところは、「トール」と言う主人公以上に、
魅力ある脇役のキャラがしっかりしていたと言うところだと思います。
特に良かったのは「サード」です。
結末近くに明らかになっていく「サード」の秘密や生い立ちなどは、非常に興味をそそられました。
◆
全5巻と言う中で進められた壮大な話のせいなのか、非常にテンポよく読むことが出来ました。
欲を言うなら第1巻は少しタルイ感じで進んでいたのに、
最終巻はストーリーがちょっと先を急ぎすぎているような気もしましたが、
5巻全部を一気に読むにはダレなくていいかもしれません。
もう一つ欲を言えば、荒んだ生活を余儀なくされるキマエラと言う星で、
獣王を争って戦うという危機感とか悲惨さがあまり感じられ
なかったのは、
絵が綺麗すぎるせいなのでしょうか。
でもそう言うところを差し引いても、十分満足できる作品だと感じています。
◆
飽くなき人類の存続を求める人間は、その行為が善か悪かと言うよりも、
絶滅したくないと言う本能で行われていく行為なのでしょうか。
この本は1回だけでなく、何回も読んでいくと、より深い何かを感じそうな気がします。
(漫画本エッセイ003) |